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第1755号 ほろほろ通信『ファイアマンの親切』志賀内泰弘

名古屋市中川区の谷口由代さん(57)が歯科医院で治療を受け、自転車に乗って帰ろうとするとタイヤがペシャンコになっていた。空気を入れる部分のキャップが外され、チューブのバルブに付いている虫ゴムが盗まれていた。誰かのいたずらだろうか。

仕方なく自転車を引いて帰る途中、中川消防署の前を通りかかった。昼食を終えてお茶を飲んでいた一人の職員が出てこられたので、事情を話すと「気の毒ですねえ」と同情してくれた。その様子を見ていた休憩中の5、6人の署員も次々に現れた。みんなでスペアがないかと署内を探してくれたが見当たらなかった。

「自転車をこのまま少しの時間だけ預かってください。後で取りに来ます」とお願いした。すると、その中の一人が「ここにある自転車の部品を付けてあげますよ」と言い、建物の裏に置いてあった自転車から部品を外してきてくれた。空気も満杯に入れてもらい走ることができるようになった。

しかし、消防署のとなたかの自転車が乗れなくなっては困る。谷口さんはその足でホームセンターに行き、部品を買って消防署に返しに戻った。せっかくの休憩時間なのに皆さんで親切にしてもらった。消防署の前を通るたびに「ありがとうございました」と繰り返し言っているという。

<中日新聞掲載 2008年6月8日>