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第1836号 ほろほろ通信『3組の連係プレー』志賀内泰弘

ある日の夕方六時ごろ、豊橋市の小見門みよ子さん(40)が車を運転していた時の話だそうだ。

赤信号で待っていると、2歳くらいの男の子が交差点の真ん中に向かって、よちよちと歩いて行くのが見えた。辺りを見回したが保護者の姿はない。交通量が多く、このままでは危ない。

慌てて車の窓を開けて大声で「僕ー、だめー、戻って!」と叫んだ。しかし男の子は、きょとんとして指をくわえたまま立ち止まってしまった。

横断歩道を歩いている年配の夫婦の姿が見えた。その二人に「この子を見てください」と叫んだ。気付いてはくれたものの、車の行き来が激しく近寄れない。その時、自転車に乗った男子高校生がやって来た。「その子を…」と窓から手を出して指差す。すぐに事態を把握し、自転車から降りて素早く保護してくれた。

信号が青に変わり、先ほどの夫婦が走って来た。「迷子かな。交番に連れて行きます」と言い、高校生から男の子を預かってくれた。高校生に「お兄ちゃん、ありがとう」と言うと、笑顔で軽く一礼をして、何事もなかったかのように再び自転車に乗って去って行った。見ず知らずの3組の連係プレー。ほんの30秒ほどの出来事だったという。

小見門さんは「レスキュー隊のように大きな人助けはできないけれど、自分にできる範囲で人のお役に立てたことがうれしかった」とおっしゃる。「大声を張り上げるのは少し恥ずかしかったけど、勇気を出してよかった」とも。

<中日新聞掲載 2009年7月26日>