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第1824号 たった一言でコンテスト受賞作品★ホスピタリティ賞★『ありがとうな』

<氏名>長谷川さん
<学校名・学年>北九州工業高等専門学校

<心に響いた「たった一言」>
「ありがとうな」

<「たった一言エピソード」>
高校受験も終わって、中学の卒業式を控えた数日前頃、親友だった奴と喧嘩をした。今振り返ると本当にくだらない理由だったのだが、当時は互いに周りが見えていなかったのだろうと思う。

それから全く口を利かず、そのまま卒業式を迎えた。記念の集合写真を撮る時も、気まずさが抜けず、結局距離を開けて撮った。卒業式も無事に済ませ、中学最後のホームルームとなった時にも結局会話もせず、他のクラスメートと話すこともなかった。担任が号令をかけ下校、お開きとなった後に卒業アルバムにメッセージを書き合う人が多かったけれど、特に人間関係も良好でなかったので、さっさと支度をして帰宅した。

それからその親友だった奴は県外の高校に進み、中学卒業を機に引っ越したようだった。それを聞いた時も特に何も思わず、高校生活も忙しくなって喧嘩のこと自体忘れかけていた。

ある時、遠方からの親族が来て自分の中学の話題になった。中学での思い出なんてあまり無かったけれど、何か話せるような事はなかっただろうかと思い、ずっと押し入れの上の方にしまっていた卒業アルバムを引っ張り出した。

一通りパラパラとページをめくっていると、最後のページが目に付いた。「お友達からのひとこと」というページ。卒業式の後すぐ帰ったために空白だと思っていた最後のページに、たった一言だけ。
「ありがとうな」
と書かれていた。名前こそ書かれてなかったものの、字の癖が強かったので確信できた。確実にあいつの字だった。

なんであの時謝れなかったのかという後悔が押し寄せてきた。もう連絡も取れないのは分かっていたが、とにかくクラスメートに連絡をとって、引っ越し先を突き止めようとしたけれど結局分からなかった。

十数年後にあのクラスの同窓会がある。もし再会できたなら、恐らく向こうはそんな事覚えてすらいないだろうが、それでもしっかりと謝るつもりだ。その時に「言った通り出世したぞ」と胸を張れる人間になれているだろうか。アルバムを見る度に考えている。