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第1817号 たった一言でコンテスト受賞作品★こころぽかぽか賞★『マイペース!』

<氏名>阪口さん
<年齢>61
<性別>男性
<住所>京都府

<心に響いた「たった一言」>
「マイペース!」

<「たった一言エピソード」>
あれは中学二年生の時のこと。Kというクラスメートがいた。私はKがとても苦手だった。Kは皮肉屋で、事あるごとに私にからんできたからだ。私は学校にいる時はできるだけKに接触しないようにしてた。

秋の体育祭で、私は長距離レースに出る羽目になった。クラスでは誰も出たいという者がいなかったことから抽選となり、その結果私が走ることになってしまったのだった。よりによって走ることが苦手な私がなんで……と泣きたい気持ちだったが、何とか完走だけはしたいと考え、一応体育祭の前には家の周りを走ってはみた。

レース当日、スタートラインに並んで周りを見ると、他のクラスからは運動部で活躍しているようなメンバーばかりがエントリーしていた。レースが開始され走り出してみると、案の定私は、ついていけずみるみる集団から置いて行かれることとなった。私は、大勢の目がある中で、圧倒的なびりっけつを走ることの恥ずかしさで消え入りそうな気持だった。

何週目かの周回を重ねてクラスメートが陣取る一角に差し掛かった時のこと。突然、誰かが前に乗り出すようにして「マイペース!」と叫んだ。そちらを見ると、声の主はKだった。まさかと思ったが、その後もクラスの前に差し掛かるたびに、Kは最前列から「マイペース!」と大きな声で激励し続けてくれた。

私はその声に押されるようにして、何とか完走を果たすことができた。完走できたのはKのおかげだと思った。Kの一言が他のクラスメートのような「がんばれ」という言葉ではなく「マイペース」という言葉だったことに、私は救われていたのだろうと思う。

今でも嫌なことがあったりすると、「マイペース!」と叫んでくれたKのことを思い出すことがある。そのたびに私は「マイペース」とつぶやいてみる。そうすると、あの時の自分のように何とかそのことを乗り切ることができるような気がしてくるのである。