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第1810号 ちょっといい話『お気に入りのジュース』志賀内泰弘

「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動では、「ちょっといい話」の投稿を募っています。
拙著新刊「眠る前5分で読める 心がスーッとして軽くなるいい話」(イーストプレス社)の「まえがき」にもエピソードを紹介させていただいた小学校で音楽専科の教師をしている、三重県鈴鹿市の長岡むつみさんから、こんな「いい話」が届きました。

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3月29日の出来事です。関西線の河曲駅から乗車したときのことです。

主人が用意してくれたピーチの缶ジュースのペットボトルを飲もうとして、フルトップリングを開けようとしましたが、開けることができません。乗車前に使ったヘアオイルが掌に残っていて、滑ってしまうのです。ハンカチで押さえたりして頑張ってみたのですが、それでも開きません。

諦めてカバンに仕舞おうとした時のことです。隣に座っていた男性が、
「開けましょうか」
と声を掛けてくれました。手についた油分が缶についてしまっていましたため、その男性も少し滑って手間取りましたが、開けることができました。

お気に入りのジュースが、いっそう美味しく感じられました。

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亡くなった母が、指を痛めて長い事悩んだことがありました。病院にも通いましたが、なかなか治りません。たびたび、ペットポトルや瓶詰のふたを開けてくれるように頼まれました。私が何気なく開けて「ハイッ」と渡すと、びっくりするほど喜んでくれたのでした。

そして気が付くと、私も母の「その歳」になっていました。ペットボトルを開けようとして、
「アレ・・・開かないぞ」
と歯を食いしばることが出てきました。

そうなって、初めて母の気持ちがわかりました。他人にとっては、ささいなことでも、当人にとっては大きな問題であることもある。

たかが缶ジュースかもしれません。でも、声掛けしてもらえたことが嬉しいのです。

そんな小さなことから、世の中は変わっていくのだと信じます。