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第1799号 ちょっといい話『「プチ紳士」の恥ずかしい本音』志賀内泰弘

拙著新刊「眠る前5分で読める 心がスーッとして軽くなるいい話」(イーストプレス社)の中には、「プチ紳士」どころか、「立派な紳士・淑女」が大勢登場します。「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動の代表をしているからというわけではありませんが、困っている人がいたら、迷わず声をかけるようにしています。

いや、実はコレは「嘘」。「迷わず」ではなく、「ちょっと迷いつつ」なのです。この原稿を書いている「昨日」もそうでした。地下鉄の改札を通り、ホームへと向かう途中のことです。階段を下っていき、あと2、3歩でホームだという時です。上りエスカレーターに白い杖をついた女性が乗る姿が見えました。

仕事の約束時間が迫っているわけでもなく、私は時間に余裕がありました。でも、迷ったのです。
「声をかけようか、どうしようか」
と。
その時、ちょっとお腹の具合が悪くて、朝ご飯も抜いていました。何をする元気も湧いて来ず、気分転換に散歩がてら買い物に出掛けたのでした。そんな体調不良が、「行動」を鈍らせたのでした。

ほんの2、3秒の「迷っている」うちに、エスカレーターは上がっていきます。心の中で、「エイッ!」と声を掛けて、階段を駆け上がりました。体調のこともあり、息がハーハーしています。そしてムカムカも。

エスカレーターから降りて、改札へと歩き出した白い杖の女性に声を掛けました。
「お手伝いしましょうか」
「いえ、大丈夫です」
「慣れておられますか」
「はい、いつもの道なので」
「お気をつけて」
「ありがとう」

という会話を交わし、私はまたホームへと向かいました。なぜ、私は、白い杖の人をヘルプしようとするのか。それは、多くの著書でも語り尽くして来ましたが、「ギブアンドギブ」の精神に基づくものです。
「ギブアンドテイク」ではなく、あくまでも「ギブアンドギブ」。「与えたら」それは必ず「返ってくる」。その世の中の摂理を知っているので、「ギブ」しているのです。

ところが、心と身体が「一致」しないことがあります。昨日のように体調が優れない時。また、約束の時間に遅れそうで急いでいる時。両手にいっぱいの荷物を持っている時。雨がザーザー降っている路上。などなど。

「声を掛けなくてもいい」という「自分に甘える理由」をほんの一瞬の間に考えてしまうのです。そう、昨日もそうだったのです。

実は、もう一つ、関門があります。
「お手伝いしましょうか」
「いえ、大丈夫です」
という「やりとり」の後です。ひょっとすると、相手は遠慮して「大丈夫」と返事をしただけかもしれないです。だから、本当は、もう一押し、
「僕も暇なんで、大丈夫ですよ」
と言うと、
「じゃあ、お願いします」
と言われる場合もあるのです。

ところが・・・。
「大丈夫です」
と言われた瞬間に、
「ほっ。声は掛けたけど、体調イマイチだからカフェでゆっくりしたかったんだよね。もし、目的のカフェと反対方向へ連れて行って欲しいって頼まれたらどうしよう」
などと考えている自分がいるのです。そして昨日は、もう一押しの言葉が掛けられませんでした。このところ、10連敗(?)くらいです。続けて「大丈夫です」と言われました。でも、でも、ひょっとすると、私の声の掛け方が悪かっただけなのかもしれないのです。ああ、恥ずかしい。

志賀内のもっともっと恥ずかしい話も、拙著新刊「眠る前5分で読める 心がスーッとして軽くなるいい話」に書きました。本音の話です。まだまだ、です。たぶん、死ぬまで「迷い」続けることでしょう。