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第1796号 ほろほろ通信『試合の終わった甲子園で』志賀内泰弘

知立市で書店を営む山田孝さんは、高校野球の大ファンだ。店の前に全国の高校野球の情報を張り出しているという。春・夏の大会には、店を休んでまで甲子園に応援に出掛けることもある。昨夏の甲子園大会決勝戦。静岡県代表の常葉学園菊川高校は、大阪桐蔭高校に17−0で敗れた。その後、表彰式、閉会式が済んで30分くらい経った時のことだそうだ。

応援団が退出し、がらんとしたアルプススタンドにわずかな人たちが残っていた。その中にいた小学生の男の子4人が、突然スタンドの一番上まで駆け上がって「菊川最高。バンザイ!」と、何回も叫んだ。出場選手の家族かと思われた。すると、それを見ていた女子高校生が小学生のところまで行き、同じように「菊川最高!」と声をそろえて叫んだ。勝っても負けても菊川高校が好き、という気持ちが伝わって来た。

スタンドの外に出ると、応援団やチアリーダーたちがバスに乗り込んでいた。先ほどまで熱い戦いを繰り広げていた菊川高校と大阪桐蔭高校のバスが、隣り合わせに止まっていた。バスの窓を開けて、それぞれの学校の生徒たちがお互いに手を振ってエールを交換していた。

山田さんは「応援の吹奏楽もチアリーダーも、みんな一生懸命です。スタンドには、ごみ拾いをするボランティアが何人もいます。みんな高校野球が好きな人ばかり。試合の結果とは関係なく」とおっしゃる。

<中日新聞掲載2009年1月25日>