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第1792号 ほろほろ通信『モップと教頭先生』志賀内泰弘

日進市の原さおりさん(37)が以前、印刷会社に勤めていた時の話。

仕事の打ち合わせで、ある中学校に出掛けた。夏休みに入る少し前のことで、猛暑の中、校舎の回りの草刈りをしている男性に目がとまった。田んぼと道路の間の路肩に、背丈の高い草が伸び放題になっている。それを大きな植木ばさみで、汗ぐっしょりになりながら刈っている。

よく見るとそれは、その学校の教頭先生だった。「教頭先生自らが草刈りされて、大変ですね」と声をかけると、「生徒が危険なので」とおっしゃった。この学校では、自転車通学する生徒が多い。草が伸びていると生徒の姿が隠れてしまい、行き交う自動車から見えなくなって危ないというのだ。黙々と草を刈る教頭先生の姿に頭の下がる思いがした。

また、ある日のこと。校舎の中をモップを手にして歩く教頭先生を見かけた。思い切って尋ねると「生徒の様子を見るために校内を巡回するのですが、ついでに掃除もできて一石二鳥なので」とおっしゃった。知り合いの保護者の人に聞くと、いつもモップを手にしているらしいことがわかった。いや、手にしていない時のほうが珍しいほど。保護者会などで学校に行くと、いつも「ご苦労さまです」「ありがとうございます」と気持ちを込めて言われるとも聞いた。

原さんは「まだ幼い自分の子どもたちが、こんな学校で学べたらいいなあ」と願っている。

<中日新聞掲載2009年1月18日>