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第1779号 ちょっといい話『友人の「あの日」の「ひと言」・・・新刊では書かなかった名前』志賀内泰弘

19年前の忘れられない話を、2月10日発売の拙著新刊「眠る前5分で読める 心がスーッとして軽くなるいい話」(イーストプレス社)に収めました。

それは、こんなお話です。

   *   *   *   *   *

平成12年3月、私は、念願だった初めての本を出版することができ、天にも昇る気分でした。「いい話 こころに一滴たちまちさわやか」(JDC)という本です。その後、立ち上げることになる「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動へと結びついていく「心温まるいい話」集です。「いつか、本を出したい」というぼんやりとした「夢」でしたが、ご縁がご縁に繋がり、「いつか」が現実となったのです。

でも、初めての著作であり、まったくの無名人の本が売れるわけがありません。当時、全国の書店数は約2万1千店(現在は約1万3千店)。初版は、3千部。そして、一年間に日本国内で出版される本の数は、7万点と言われています。単純に計算しても、無名の新人の本が書店の棚に並べてもらえるわけがありません。

そこで、私は地元の書店さんに、「この本を置いてください」と頼んで回ることにしました。まずは、馴染の書店チェーンの地下街のお店でした。恐る恐る「店長さんはいらっしゃいますか?」と訊き、カバンから本を取り出します。開口一番、こう言われました。

「うちは、自費出版の本は置きません」
「いえいえ、自費出版ではないです」

そう答えつつ、声に元気が無くなりました。というのは、初版3千部のうち、千部を著者が買い取るという条件で、出版してもらったからです。いわゆる「準・自費出版」。「実は、新聞のコラムで紹介していただけることになっていまして・・・」と言うと、店長さんは困り顔で、「もし、本当に掲載されたら考えてみるわ」と言い、奥に戻って行かれました。

次に訪ねた書店さんでは、「地元でサラリーマンをしています。初めての本を出しました。よろしくお願いいたします」と頭を下げ、本を手渡しました。すると、店長は、「こんなのいらん!」と言ったかと思うと、本を投げ捨てるように私に突き返したのです。別に、悪い事をしているわけではありません。ただお願いをしているだけ。それなのに「本を投げる」なんて・・・。

私は、初めての本を出したという喜びから、奈落の底に突き落とされた気持ちになっていました。その後、何件もの書店さんで同じような対応を受けました。

でも、今だからわかります。私の行為は、書店さんにとってみれば、迷惑だったのです。売れる見込みのない本をセールスされても困ります。書店の棚には限りがある。それなら誰でもベストセラー作家の本を置きますのよね。また、アポもなく、突然やって来たら営業の邪魔になります。相手の立場に立ってみたら、当然のことでしょう。

私は、教えを乞おうと思い、「なぜ、置いていただけないのか、教えていただけますか?」と尋ねました。すると、「その理由をあなたに話す必要はない」と冷たく言われてしまいました。普通の会話さえしてもらえないなんて。

少なくとも、私はその書店のヘビーユーザーです。「そこまで言わなくてもいいのに・・・」と泣きたくなりました。悔しくて、悔しくてたまらない。帰り道に、ケータイで友達に電話をして愚痴っていました。その友人は、経営コンサルタントをしており、大手の出版社から何冊も本を出しています。私の話を聴き終わると、彼は静かに言いました。

「君の本は読ませてもらったよ。ものすごくいい本だ。なにもガッカリする必要はないよ。いつの日か、向こうから『志賀内さんの本を置かせて下さい』と言われるような本を書けばいい。そういう人間になればいい」

私は、愕然としました。自分が無名であることは自分の責任です。それを棚にあげて、扱ってくれない書店さんを恨んでいる。顔から火が出るほど、恥ずかしくなりました。今では、20数冊の本を書き、全国の書店さんが私の本を置いて下さるようになりました。それも、「あの日」の彼の「一言」のおかげです。(以上、新刊より抜粋)

   *   *   *   *   *

ここで明かしちゃいます。この経営コンサルタントというのは、酒井英之さんのことです。
http://vjiken.jp/profile.html
(すごい経歴なので、お時間のある方はクリックを)

酒井さんがいたから、志賀内の「今」がある。酒井さんの「一言」のおかげで、今回の「新刊」も書けた。でも、直接言うのは恥ずかしい。

友達だから、恥ずかしい。
酒井さん、ありがとう!