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第1777号 ほろほろ通信『新幹線で母親が…』志賀内泰弘

電車に乗っていて、子どもが走り回ったり、大声で騒いだりしているとまゆをひそめる。親はなぜしからないのかと。でも、赤ちゃんだと反対にお母さんが気の毒になる。赤ちゃんは泣くのが仕事だから仕方がない。

小牧市の加藤和子さん(80)が、4月に生まれたひ孫に会うため東京の孫娘の家を訪ねた時の話。名古屋駅から朝9時台のひかり号に乗り込んだ。ほぼ満席。加藤さんの後から、赤ちゃんをダッコバンドで抱えた24、5歳の母親が乗り込んで来て、加藤さんの三つくらい前の席に座った。

発車して間もなくのこと。突然、その母親が席を立って周りに向かってあいさつした。「皆さま、おはようございます。これからきっと皆さまにご迷惑をおかけするかと思いますが、お許しくださいますようよろしくお願いいたします」

大声でよく通る声だった。かなり遠くの人まで聞こえたはず。何人かが後ろを振り返って母親の方を見た。加藤さんは、初めての出来事にうれしくなって、思わず拍手をしてしまったという。

「今どきの若者は、という言葉を耳にしますが、その礼儀正しさに感心。その母親の親御さんのことまでも想像してしまいました。何より心地良い旅となりました」と加藤さん。結局、途中の静岡駅で降りるまで、赤ちゃんは一度も泣かなかったという。

<中日新聞掲載 2008年8月10日>