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第1773号 ほろほろ通信『若い友達ができた』志賀内泰弘

豊田市の村田美智子さんは、この5月に満80歳になった。三度の大病を経験したが、いつも「負けるものか」と前向きな姿勢で乗り越えて来た。しかし、股(こ)関節の脱臼で人工関節手術を受けているため、長い距離は歩けない。それでも徒歩10分ほどの場所にある交流館(公民館)で、俳句などを学ぶのが生きがいになっている。

一つ困ったことが。日本画の教室が建物の2階なのだ。絵の具や筆、絵皿のほか、大きな画板など荷物が多い。カートが重くて持ち上がらない。そんな時だ。40代の清掃スタッフの女性が、サッと荷物を手にして運んでくれた。

日ごろからできるだけ人に甘えないように心掛けている。でも、できないこともある。それだけに涙が出るほどうれしかった。以来、毎回、その女性が荷物を運び上げてくれるようになった。

今年の3月も終わりのころ。その女性から一通の手紙を手渡された。そこには、交流館を退職する旨と「ほんの少しの会話だったが楽しかった」と書かれてあった。こんな年寄り相手に「楽しかった」などと…。生きる力をもらった気がした。それを機に便りと電話の付き合いが始まった。ハンバーグやスパゲティが好物ということを覚えていてくれて、食事にも誘われた。

村田さんは言う。
「何と私に若いお友達ができたのです。生きているって素晴らしい」

<中日新聞掲載 2008年7月17日>