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第1769号 ほろほろ通信『お風呂の時間ですよ』志賀内泰弘

安城市の村上訓子さん(29)は自動車部品メーカーに勤めている。職場には、昨年の秋に子どもが生まれたばかりの男性社員が二人いる。いずれも二人目の子どもだ。近年、子育てに積極的に参加する男性が増える中で、この人たちも例外ではないという。

二人とも、子どもをお風呂に入れることが家庭での役割になっている。最初のころは「すみません。ちょっと子どもをお風呂に入れなくちゃいけないので帰りますね」と遠慮しつつ、本当に申し訳なさそうに帰って行った。

それから数カ月がたった。「ねえ、7時を過ぎましたよ」「お風呂の時間は大丈夫ですか」と、周りの社員から早く帰るようにと声が掛かる。仕事に集中していると、本人たちも時間を忘れてしまうのだ。職場のみんなで二人の子育てを支援している様子。

何よりも仕事優先という時代があった。年配の上司たちは「核家族で子育ては大変だった」「仕事場で男性が子どもの話をする人さえ少なかった」と語る。自分がしたくてもてきなかった時代を乗り越えて管理職となった今こそ、この二人を応援せずにはいられないという。

「最近、お風呂で二十まで数えられるようになったよ」と聞いて、独身者も既婚者も男性も女性も、二人のお子さんたちの成長を一緒に喜んでいる。今日も「お風呂の時間ですよ」と、誰かが言う。

<中日新聞掲載 2008年6月24日>