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第1765号 ほろほろ通信『港のラッキー』志賀内泰弘

名古屋市港区の稲垣君子さん(60)からの便り。二月三日節分の日、名古屋港で一人のホームレスが救急車で病院に運ばれた。その後には、ベンチにつながれた一匹の犬が残された。茶色の小型の柴犬で、名前をラッキーといった。

稲垣さんのご主人が犬を散歩に連れて行くたび、相性が良いらしく犬同士が遊んでいた。おのずと飼い主同士も会話を交わすようになった。同様に、散歩の途中で足を止める人が多く、その男性とラッキーは愛犬家の間ではよく知られた存在だった。

男性の入院後、このままではいけないと、みんなが餌をやりに来た。愛犬家だけでなく広場を掃除する人や釣り人、近くのお店で働く人たちも。しばらくして、そばの柱に張り紙が張られた。「誰かこのかわいそうな犬を拾ってやってください」。またしばらくすると「ここにいた犬は飼い主が戻るまで○○で預かってます」と書き換えられた。商業施設で働く若い人たちが代わる代わる面倒を見ているらしい。

その後ホームレスの男性が「世話できないので、誰かもらってくれないか」と言っているという話を、稲垣さんは伝え聞いた。そこで、ラッキーを引き取ることにした。「地域の人たちに優しさと、けなげに生きることを教えてくれた大切な犬です。今、元の飼い主の男性と連絡が取れないので、ラッキーは元気ですよと伝えたい。そして地域の皆さんにも」とおっしゃった。

<中日新聞掲載2008年4月20日>