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第1674号 ちょっといい話『互恵的利他行動』志賀内泰弘

「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動では、その理念でもある「ギブアンドギブ」の精神の大切さを、繰り返し説いてきました。ギブアンドテイクではなくて、あくまでもギブアンドギブ。見返りを期待せず、ギブする心を養おうというものです。

でも、人間ですから、どうしても「見返り」は期待してしまうものです。でも、大丈夫。日本のことわざにもある「情けは人のためならず」です。
だから、期待しなくても、ちゃんと「返ってくる」から安心して「ギブ」しましょう・・・という考え方です。当メルマガや月刊紙「プチ紳士からの手紙」では、そんな「期待しなかった」のに「返ってきてしまった」エピソードをいくつも紹介してきました。

さて、私の大好きな作家のひとりに、竹内久美子さんがいます。竹内さんは京都大学理学部卒で、同大学院博士課程を経てエッセイストになりました。「遺伝子は利己的である」というユニークな観点から「パラサイト日本人論」や「シンメトリーな男」などのベストセラーを世に送り続けています。

そもそも、人間も含めた生命というのは、利己的にできており、自分の種を守り継続していくために、他者を押しのけてでも「生きる」習性があると説いています。

例えば、カッコウの托卵です。托卵とは、他の鳥の巣に卵を産み、自分では育てず他の鳥に育てさせるという習性のことです。カッコウは、オオヨシキリなどの巣に卵を1個だけ生み落します。
オオヨシキリの卵よりも、カッコウの卵の方が早くかえり、そのヒナは、なんとオオヨシキリの卵を巣の外へと背中の窪みを器用に使って落とします。そして、オオヨシキリの親鳥が運んで来るエサを独り占めにしてしまうのです。生命というのは残酷なようですが、このように「自分の種を残す」ために、遺伝子が利己的に働いているといいます。

しかし、動物は、これに相反する行動を取ることがあるともいいます。それが「互恵的利他行動」です。
中南米の牧場に近く住むチスイコウモリは、普段、木のうろ(樹洞)に集団で住み、夜になると、家畜の血を吸って帰ってきます。このチスイコウモリは、二晩続けて血を吸わないと死んでしまう。そのため、毎日、血を吸いに出掛けます。

でも、何らかの理由で、血を吸えなかった仲間(他人)がいるとします。すると、口移しで、血を分けてやるという行動に出ます。血を分けた側のコウモリは、命が縮む。瀕死のコウモリは、そのおかげで、命を長らえることができる。

ただし、条件が一つ。他人ではあるけれど、同じ集団で長く暮らしいているということ。なぜなら、いつか自分も同様にピンチの時に、助けてもらえる可能性があるからです。かといって、テイクするだけで、ギブしない奴は、死に絶える運命にある。そういうヤツは、仲間から排除され、淘汰されていくといいます。チスイコウモリは、個体認識をしていて、相手をよく覚えており、「あんた、もらってばかりだよね」ということになる。

動物は、本来、利己的にできています。しかし、動物行動学の立場から見ると、なんとも不思議な「互恵的利他行動」を取ることがあるというのです。「互恵的利他行動」をわかりやすく言えば、「ギブアンドテイク」ですね。

さて、人間です。人間も、動物です。
私たちは、間違いなく日常生活において「互恵的利他行動」を取っています。「情けは人のためならず」ですね。でも、人間が、チスイコウモリと同じレベルではなんとも寂しい気がします。「ギブアンドテイク」から「ギブアンドギブ」へ。それが難しければ、「ギブアンドギブアンドギブ・・・テイク」へ進めたいものです。