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第1451号 ちょっといい話『聴覚が優れた店員さん~十六銀行研修レポートから』志賀内泰弘

目の不自由な友人がいます。森茂伸さんです。
サラリーマン時代に、通勤の地下鉄で知り合いました。
もう15年ほどのお付き合いです。
 
ある日のことです。私が電車の中で、
「今日は、雨で町が静かでいいですね」
と森さんに言った時のことでした。
「とんでもない」と言い、こんなことを教えてもらいました。
雨が降っていると、なぜ、静かだと思えるのか。
それは、車や工事の騒音を、雨の音が消してくれるからです。
それが曲者。目が見える人は、視覚で危険を察知できますが、
目が不自由な人にとっては聴覚が「命」と言ってもいい。
ところが、雨の日には、車が近くを走って来たのに気付けなくなってしまう。
雨は、視覚障がい者にとって、困り者なのです。
 

私は、恥ずかしくなりました。
物事を一面、いや偏った感覚でしか捉えていなかったからです。
一般的に、人は五感で物事を察知すると言われています。
視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚です。
森さんは、その一つ、視覚を失ってしまったため、他の4つに頼っています。
 
しかし、反対に残りの4つの能力が発達し、レベルが上がります。
私は、何気なく過ごしている雨の日に、
森さんは、聴覚を研ぎ澄まして、そこから得られる情報を察知しています。
せっかく、天から授けられた五感を、
私はフルに活用していないことにも、気付かされました。
 
さて、岐阜県に本店を置く十六銀行さんとご縁があり、
サービス向上のための研修で講演をさせていただきました。
そこで、事前に各店舗から集まるCS担当行員さんに宿題を出しました。
 
「自分の仕事上の体験でお客様に喜んでいただけた話、
 あるいは、普段の生活の中でもいい。
『ああ!いいサービスだなあ』と思ったエピソードを教えて下さい」
 
行員の皆さんから心に響く素晴らしい「いい話」が集まり、研修の中で発表しました。
せっかくなので、この試みを継続させたいと考え、
行員の皆さんにはたいへん負担になるでしょうが、
毎月、毎月「いい話」の宿題を続けることをお願いしました。
すると・・・出るわ出るわ、「いい話」が続々と。
 
その中の一つに、こんなエピソードがありました。
K支店(愛知県)のKTさんのレポートです。
 
    *    *    *    *
 
家族で焼き肉屋さんに出掛けた時のことです。
食事をしていて、お箸を床に落としてしまいました。
店員さんを呼んで、代わりのお箸をもらおうと思った、その時でした。
扉がガラッと開いて、店員さんがお箸を持って現れたのです。
「お箸を落とされましたよね?」
「え?!・・・なぜ・・・わかったのですか」
 
その部屋は、個室で引き戸が細かい格子状になっていて、
外から見えないようになっているにもかかわらず。
 
そうです。
私がお箸を落とした音を、外から聞いていて下さったのです。
周りの音に気付いて行動できる店員さんは、素晴らしいと思いました。
 
自分が接客する上でも、「気付き」を大切にして、お客様に声をかけられる前に、
こちらから行動できるような接客をしていきたいと思います。
 
    *    *    *    *
 
いかかでしょうか。スゴイ店員さんですよね。
きっと、五感を研ぎ澄ませて、お客様の必要とする情報を集めているのです。
だから、店内の「ざわめき」の中でも、一本のお話が落ちた「音」を
聞き分けることができたに違いありません。
 
せっかく、天から与えられた「五感」です。
感謝して、フル活用したいと思いました。