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第1417号 ちょっといい話『無所得を知ってますか?』志賀内泰弘

新聞の広告欄に目が留まりました。

小さな小さな、マッチ箱くらいのスペースです。

「「無所得」とは、見返りを求めないこと。
見返りを求めるから悩みが生まれる。
悩み苦しみから逃れる妙薬は無所得」

曹洞宗(東海管区教化センター)の「生活の中の宗教」というシリーズ広告でした。
もう27回目というのに、初めて気付きました。

「無所得」というと、収入がないことかと思います。
でも、それは、仏教の教えの一つでした。
「喫茶去」「一期一会」「日々是好日」など、
禅の言葉には、私たちが日頃目にする言葉の語源が多くあります。
でも、恥ずかしながら、「無所得」というのは、初めて知りました。

なぜ、恥ずかしながらか・・・というと、
「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動の理念である
「ギブアンドギブ」共通する考え方だからです。
ギブアンドギブは、与えて与えて、それでも与えて、
見返り(テイク)を期待しないということです。

例えば、電車の中で、お年寄りに席を譲ったとしても、
誰もそのお年寄りからテイクを受けようとは思わないでしょう。
与えたら与えっ放し。それが、「プチ紳士・プチ淑女」です。

その広告は、こう続けています。
「見返りを求めるから悩みが生まれる。
悩み苦しみから逃れる妙薬は無所得」
と。

そうなんですよね。
よくよく人生を振り返ってみると人間関係でのトラブルのほとんどは、
「見返りを期待した」ところに原因があったことに気づきます。

もう15年以上も前のことです。
パーティで名刺交換した男性が
「頼みごとがあります」と言いやって来ました。
仕事上で勉強会をしばしば開催するのだが、なかなか人が集まらない。
その集客の仕方を教えて欲しい。
もしできたら、集客を手伝って欲しいというのです。

そこで、私は、こんな提案をしました。
「すぐに、お役には立てません。
でも、今、ちょうど大きな町おこしのプロジェクトを企画しています。
その事務局長になっていただけませんか。さまざまな会社やマスコミ、
市民と知り合いになることができます。
時間はかかるかもしれませんが、自然に人脈ができて、
あなたの仕事にも大いにプラスになると思いますよ」
そう言うと、即断で引き受けてくれました。

そのプロジェクトは、順調に進みました。
彼の事務局長としての獅子奮迅ぶりのおかげでもあって、
大成功を収めました。ところが、です。
ある時、彼がやって来て、こう言うのです。
「一生懸命にやったのに、新聞やテレビに出るのは一部のメンバーだけです。
私は、ずっと裏方で損をしている。これでは報われません。もう辞めさせてください」

「それは違うよ。あなた自身のために、事務局を引き受けてもらったんです。
事務局が一番、得をする仕事なんです。大勢の人たちと、知り合えたでしょ。
中には、財界や行政のトップもいますよね。他にも事務局をお願いする人はいました。
でも、たまたま、あなたから頼みごとをされ、これはグッドタイミングだと思って、
お願いすることにしたのです」
そう言い、引き止めました。
しかし、
「そんなことを頼んだ覚えはありません」
と言われ、去って行きました。

私は、とても悩みました。
本当に彼のためをと思い、事務局を任せたのです。
突然、事務局長は空席になり、活動は一時ストップしてしまいました。
困りました。恨みました。
「なんて、勝手なヤツなんだ!あんなに、目をかけてやったのに・・・」
そう思った瞬間、私はハッとしました。
(今、オレ・・・「目をかけてやったのに・・・」って思ったよな)

そうなのです。
「のに」が出る、「愚痴」になる。
相田みつをさんの言葉です。
彼のために、事務局長に「してあげた」と、思い込んでいた。
「してあげた」のだから、「ありがとう」と感謝の「見返り」があっても同然だ。
それなのに、なんていうヤツだ。そう思っていたのです。

禅の教えの
「見返りを求めるから悩みが生まれる」は、
まさしく、その通りだったのです。

彼のために、事務局長というたいへんな仕事を任せたというのは事実です。
けっして、便利屋さんとして、使ってやろうなどという気持ちはありません。
でも、心のどこかで「○○してあげた」という、
恩着せがましい気持ちが潜んでいたのでしょう。
ひょっとすると、それが彼にも伝わっていてのかもしれません。

人のために何かをする。
それは己の「驕り」との戦いでもあります。

ギブアンドギブは深い。
日々、精進が必要です。