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第987号 ちょっといい話『一日1000回お辞儀をする警備員の話~新刊「レクサス星が丘の奇跡」』志賀内泰弘

名古屋の高級住宅街、そして文教地区でもある「星が丘」という場所に、 レクサスの販売店「レクサス星が丘」があります。

レクサスという車を買う時、その商品品質は、 どのレクサス販売店で購入しても変わることはありません。 しかし、日本中のレクサス販売店で、その売上や評判に大きな開きがあります。 その頂点に位置するのが、「レクサス星が丘」です。 年間受注台数は、常に1、2位を争う。

そして、全国のレクサスオーナーたちのアンケート結果によるCS(顧客満足度)と合わせると、 ダントツ1位の評価を得ています。関係者の間では、「キング・オブ・レクサス」と呼ばれ、 他の販売店(別の経営母体)からは驚異の存在になっているのです。

また、インターネットの個人のブログでは、レクサス星が丘にまつわる数々の出来事が 「レクサス神話」として紹介され、ディーラーの口コミサイトでも 5つ星の最高ランクの評価を受けています。

それはなぜか・・・。

静岡県の静岡市、岐阜県の高山市、奈良県の奈良市、三重県の四日市市という遠方にまで、 レクサス星が丘のお客様がいるのです。もちろん、その近くにもレクサスの販売店はあります。

車というのは、ときおりメンテナンスを必要とします。 故障したり、期せぬトラブルに巻き込まれたりすることもあります。 そんな時、販売店は近い方がいいに決まっています。 にもかかわらず、遠方からのお客様が引きも切らないというのです。

今回、縁あって、このレクサス星が丘を徹底取材させていただき、 「No.1 トヨタのおもてなし レクサス星が丘」という本を PHP研究所さんから刊行していただきました。

なぜ、レクサス星が丘はナンバー1になったのか。 なぜ、「レクサス星が丘で買いたい」とお客様がやってくるのか。 その「おもてなし」の象徴とも言うべき主人公の一人が、 レクサス星が丘の警備員の早川さんです。

もし、あなたがレクサスのオーナーであるとして、 東京などから名古屋へ自分の車で仕事に出掛けたとしましょう。 そして、もし、全面ガラス張りのレクサス星が丘の前を通ったとしましょう。 そしてさらに、もし、運転に支障がない範囲であなたの心に余裕があったとしたなら、 チラッとレクサス星が丘の方へと視線を向けて下さい。 すると、「おや?」と首を傾げるに違いありません。

店の入口に、一流ホテルのドアマンかと見紛まがうような出で立ちの男性の姿を見ることができます。 次の瞬間、その男性が、深々と一礼します。 とはいっても、あなたは、その「ドアマン」を目で追い続けることはできません。 ちょうど、信号が青に変わったところで、そのまま走り去るしかないからです。 「……あれはいったい何だったのだろう?」 心に疑問が浮かぶはずです。 「え!?ひょっとして、私にお辞儀をしてくれたのだろうか」 そう、彼は間違いなく、あなたに向かってお辞儀をしたのです。 それは、何かの錯覚でもなく、たまたまのことでもありません。 レクサスのオーナーである「あなた」にお辞儀をしたのです。 その数、一日になんと1000回。

お辞儀をしてくれる彼の名は、早川正延さん。 レクサス星が丘の警備員です。 早川さんに尋ねました。 「なぜ、目の前を通るレクサスにお辞儀をしようと思ったのですか」 早川さんは、こう答えました。

「警備の仕事をする時、ただ、ここに立っているだけではつまらない。  もっと何かできないか。そんなことをぼんやりと考えるようになっていました。  そんなある日のことです。目の前の東山通りを通り過ぎて行くレクサス車にお辞儀をしたのです。  今、振り返ってみても、一番最初の時のことはあまり覚えていません。  今から思うに……(首を傾げつつも)、それは「感謝の気持ち」だったように思います。  レクサス星が丘で働いている。給料をもらって生活している。  しかし、セールスやアソシエイトのようにお客様と話す機会はほとんどありません。  でも、レクサスを愛している。レクサス星が丘のお客様に何とか自分の感謝の気持ちを伝えたい。  それが、自然とお辞儀という形になったのかもしれません」

ここで、率直な疑問をぶつけてみました。

「目の前を通るレクサスは、あなたのお店で購入された車とは限りませんよね?」 「はい、その通りです」 「ということは、感謝の気持ちを伝えたいとはいっても、  他の販売店で購入されたレクサスという可能性もありますよね。  それとも、早川さんは、ナンバーを覚えるのと同じように、  遠くから見ていてレクサス星が丘のオーナーの車だと見分けることができるのですか?」 「まさか……それは無理です。だから正直、その点にどこかしら迷いはありました」

愛知県内には、他に15カ所のレクサス店があります。 東名高速のインターチェンジが近いことから、他府県のレクサス店で購入された車という可能性も高い。 いずれも、レクサス星が丘とは経営母体が異なります。 そして、同じレクサスの販売店同士とはいえ、ライバル関係にあります。

尋ねるうちに、ぽつりぽつりと、こんな話をしてくれました。

「たしかに、うちのお店のオーナー様かもしれないし、そうではないかもしれませんね。  わからないけど、とにかく『レクサスに乗ってくださり、ありがとうございます』  という気持ちを伝えたかったんです。特にうちのお店の車でなくてもかまわない。  買ってください、というようなセールス的な意味があるわけではなく、  ただただ、感謝の気持ちで……」

これこそが、レクサス星が丘の名をレクサスのオーナーたちに知らしめ、 レクサス星が丘をキング・オブ・レクサスと言わしめた象徴なのです。 そして、お辞儀が数々の奇跡を生み出してゆくのです。

高級メロンにまつわる話。 早川さんに挨拶するドライバーの話。 そして・・・車を売ることよりも、もっともっと大きな貢献を果たしてしまった話。

これらのエピソードを知ったら、「たかがお辞儀」とバカにできなくなります。 もし、あなたが企業の社長さんなら、今日から社員にお辞儀の励行をさせるでしょう。 もし、あなたがビジネスパースンなら、率先してお辞儀をするようになるでしょう。 もし、あなたが学校の先生や親なら、子供たちにお辞儀の大切さを教えるでしょう。

レクサス星が丘は、接客、メンテナンス、アフターサービスなどの「ソフト面」が 他を寄せつけないほどに極まっています。それは、早川さんのお辞儀だけではありません。 数多の「おもてなし」の一つに過ぎません。

本書では、いかにしてレクサス星が丘がナンバーワンになったのかを、 「レクサス神話」といわれるエピソードを紹介しながら、 ビジネスの、さらには人生の「気づき」のヒントとなるようにお伝えします。

高額商品のみならず、すべての「物を売る」「サービスを提供する」仕事についている人たちのために 役立つことを意識して筆をすすめました。もちろん、その期待を裏切らないことを保証します。

だが、それ以上に、伝えたいことがあります。 一つの仕事を究めると、人生そのものが変わるということです。

そのために、レクサス星が丘のスタッフの皆さんには、プライベートの部分にまで 深く話を伺いました。成功の陰には失敗もある。挫折もある。自身の人生と重ね合わせて 読んでいただけたら幸いです。