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第866号 ちょっといい話『一流とはどういうことか追悼~船井幸雄さんに学ぶ』志賀内泰弘

平成26年1月20日付「みやざき中央新聞」に 宮崎市観光協会が主催した観光従事者研修会に招かれた橋本聖子さんの講演録が掲載されていました。

橋本さんはご存じのとおり、アルベールヒルオリンピック銅メダリストで、 現在は参議院議員であるとともに日本オリンピック委員会の選手強化本部長でもあります。

それはこんなお話でした。

   *   *   *   *

私は、アトランタオリンピックのときは、選手であり国会議員でした。 オリンピック会場に向かう選手団を乗せた飛行機から降りる時、 私は一番最後に降りたのですが、唖然としました。

スリッパや新聞や紙コップが散乱しも毛布も畳まれていなかったからです。

「これが本当に日本を代表とする選手たちか」

と目を疑いました。 その反省を受けて、「人間力なくして、競技力向上なし」ということをテーマに掲げ、 選手強化をやるようになりました。 (中略) そうすると、物に感謝できるかどうかが、競技力に結びついていることがわかります。 競技成績のよい選手たちは、人の見ていないところでも物に感謝することができています。

そのような心があってこそ、精神の鍛練ができるのです。 そして、その日々の感謝の積み重ねが、いざとなったときに、 体格では劣る日本選手が勝つ、大きな要素になるのです。

   *   *   *   *

その記事を読んでもパッと頭に浮かんだのが、船井幸雄先生の顔でした。 これとそっくりな話を、拙著「毎日が楽しくなる17の物語」PHP研究所に 書かせていただいたことがあるからです。

   *   *   *   *

「一流とはどういうことか」

ある人が、船井総合研究所の最高顧問・船井幸雄さんに、

「一流とはどういうことですか」

と尋ねました。船井さんは、こう答えられたといいます。

「例えば、飛行機に乗ったとき。ファーストクラスのトイレを覗いてご覧なさい。  手洗いには水滴一つ撥ねていません。使った人が後の人のことを考えて、  丁寧に拭いてから出てくるからですね。  エコノミー席のトイレと見比べてみるとよくわかります」

さらに、

「ホテルのスウィートルームでも同じです。チェックアウトするとき、  スウィートルームのお客さんは、まるで使っていないかのように  ベッドの掛け布団を元通りにして部屋を出て行きます。  それが、一流ということなのです」

この話を聞いて、ハッと思い当たることがありました。 飛行機のビジネスクラスを利用して、オーストラリアを旅した時のことです。

帰りにシドニー空港の待合室で出発までの時間を過ごしました。 この空港には、ビジネスクラスとファーストクラスのお客様専用の待合室があります。 そこには飲み物の他、サンドイッチやフルーツなどの軽食が用意されていました。

「何か美味しそうなものはあるかな」とビュッフェを見て回っていると、 一人の女性がツカツカと私の方に向かって歩いて来ました。 正直、ドキッとしました。自慢じゃありませんが、英語にはからきし自信がありません。

相手は、五十歳くらいでしょうか。いかにもイギリスの貴婦人というような出で立ちで 高級品を身にまとっていました。映画でいうなら、 「マイフェアレディ」のオードリー・ヘップバーンのイメージでしょうか。 歩き方一つとっても優雅な雰囲気を醸し出しています。

彼女は、私の目の前で立ち止まりました。 すると、テーブルのナプキンを一枚手に取るなり、スッと屈んだのです。

そして、床に落ちいていた「何か」を拾ったのでした。 その「何か」とはキウイフルーツでした。 誰かが取りそこなって、落としてしまったのでしょう。

驚いたのはその後です。彼女は、床を何度もキュキュッと音をたてて拭いた後、 そのべとべとしたナプキンを自分の上着のポケットに何気なく仕舞ったのです。

一流とはそういうことなのですね。大企業の経営者だから一流なのではありません。 お金持ちだから一流なのではないのです。 日頃の振る舞いが一流だから、成功を手にしているのです。

呆然とする私の顔を見て微笑んで一言。

「イッツ・デンジェラス」

いくら英語オンチでもそのくらいは理解できました。 目の前に落ちいていたキウイフルーツに気づかなかった私は、 返す言葉もありませんでした。

   *   *   *   *

その後、私は飛行機に乗ったり、ホテルに泊まったとき、 「その場を去るときのこと」を考えて行動するようになりました。

機内にゴミは残さない。 ベッドに掛布団と枕を整えておく。 一流にはなれないかもしれないけれど、一流を目指したいと。

飛行機に乗ったり、ホテルに泊まるたびに、船井先生の顔を思い浮かべながら。

さて、 その船井幸雄先生が、去る1月19日にお亡くなりになられました。 志賀内も、ずいぶん可愛がっていただきました。 ご自宅にお邪魔した際には、

「「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動を応援するよ!」

と立ち上げたばかりの小さな小さな活動にエールを賜り、 ご夫妻から過分のもてなしを受けたことが昨日のことのように思い出されます。

そのほかにも、言葉では尽くせないほどのことを学ばせていただきました。 微力ではありますが、その「学び」を後進にしっかりと伝えて生きたいと思います。

日本全国、いや世界中の数えきれないくらいの船井先生を慕うお弟子さんたちも、 きっと同じことを思っておられると思います。

そうだ! 船井先生は亡くなってはいないのです。 私の心の中に、大勢の人の心の中に生きているのです。 いつまで、いつまでも。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。