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第819号 ちょっといい話『おしぼり物語~事実は小説より奇なり』志賀内泰弘

愛知県豊橋市に本社のある食品メーカーにお勤めのペンネーム・フラワーさんから、
お便りをいただきました。まったく面識のない方です。

パラパラッと便箋をめくって読み進めるうち、
「これはスゴイ!」と思い、取材の電話をしていました。

それは、こんなお話です。

6月のある日のことです。
フラワーさんが会社の配送所を通りかかると、
運送会社のドライバーさんがぐったりとしてしゃがみ込んでいたそうです。

猛暑の中、荷物の積み下ろしで全身汗だく。
フラフラになってしまったのでした。

ここで、フラワーさんは、以前読んだことのある志賀内の
著書「なぜ、あの人の周りに人が集まるか?」PHP研究所のことを
思い出したそうです。(志賀内:恥ずかしながらも有難いことに)

この本は、潰れそうなコンビニにふらりと現れた一人のオバチャンが、
ホスピタリティあふれるサービス(おせっかい)で、
またたくまにお店のファンを増やし、
繁盛店に変身させるというドラマチックな自己啓発ビジネス小説です。

ストーリーの中で、こんな場面が出てきます。
トラックのドライバーさんたちのために、
冷蔵庫に冷たいおしぼりやお茶を用意し、
無料で自由に使っていただくというものです。

フラワーさんは、ハタと膝を打ちました。

これだ!

うちの会社でも同じことをやろう!
そこで、会社の会議で提案しました。

しかし、そんなに世の中は甘くありません。
申し出は認められませんでした。

でも、フラワーさんは、どうしてもドライバーさんのために、
何かをしてあげたかったと言います。
諦めきれず、自腹で計画を実行することにしました。

まず、リサイクルショップへ行き、冷蔵庫を買いました。
1万数千円で買うことができました。
次に、100円ショップで布巾30枚を買いました。
濡れた布巾と、朝、大目に淹れたお茶のポットや
スポーツドリンクも冷蔵庫へ入れました。

そして、ドライバーさんたちの控室に貼り紙をしました。

「ドライバーさん、いつもありがとうございます。
 冷たいお茶とおしぼりをご用意してありますので、ご利用下さい」

きっと、ドライバーさんたちに感謝されたに違いない。
そう思って、「ありがとう、って言われるでしょ」
とフラワーさんに尋ねました。

すると、フラワーさんからは意外な答えが返って来ました。

「いいえ、一度も『ありがとう』って言われたことがないんです。
 というのは、私は人事課で働いているので、
 仕事中にドライバーさんと接する機会がないのです。

 でも、夕方に、使い終わったおしぼりを入れておくカゴを見ると、
 山盛りになっています。それを見るたびに、
 『ああ、喜んでもらっているんだなぁ』と嬉しくなるんです」
 
率直に尋ねました。

「相当、お金がかかるんじゃないですか?」

と。最初は、自分が淹れたお茶とスポーツドリンクの両方のポットを
冷蔵庫に入れていたとのこと。ところが、断然、スポーツドリンクの方が人気がある。

そこで、スポーツドリンクだけにしたのだそうです。
少しでも節約するために、スポーツドリンクの粉末を買ってきて、
水に溶いて作っているそうです。

毎日、2~3リットル。月に4千円くらいかかるといいます。
ご主人もお子さんもいらっしゃるとのことなので、心配になり、

「ご主人は反対されませんか?」

と尋ねました。

「実は主人も同じ会社の社員なんですが、何も言いません。
 たぶん、私が言い出したら聞かない性格だということを
 知っているからでしょう」

とニッコリ。

その後、ドライバーさんたちが喜んでいる様子を見て、
会社の同僚たちが自宅からジュースを持って来て
黙って冷蔵庫に入れておくようになったそうです。

最後に、もう一つ尋ねました。

「そのことを社長さんはご存じなのですか?」
「いいえ、知らないと思います」

私から、社長さんに教えてあげたくなりました。

「こんな素晴らしい社員さんがいますよ!」

と。でも、我慢、我慢。

フラワーさんは、たぶんそれを望んではいないことがわかるからです。
ただ、ドライバーさんに喜んでもらいたいという一心からの行動なのです。

「私は、三日坊主のことが多いのですが、もう何か月も続いています。
 これができるのは、人に喜んでもらうことの嬉しさを知ったからだと思います。
 こういう気持ちから沸き起こるエネルギーは、計り知れないと自分でも驚いています。
 『人のために』ということの味を知ってしまいました。
 今後も続けていまきす!」

今、一番会いたい人です。