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第1563号 ちょっといい話『マニュアルではないけれど』志賀内泰弘

まずは、当メルマガの読者の荻靖義さんから届いた
「ちょっといい話」をご覧ください。
タイトルは「バスの運転手さんに感謝」です。

*   *   *   *

「バスの運転手さんに感謝」

1ヶ月ほど前にあった出来事です。
私は飲み会の帰り、最終バスに何とか間に合って飛び乗りました。
間に合って良かったという安堵の思いも束の間、ふと財布の中身を見ると、
悲しいかなバス代に必要な小銭が何もないことに気づき、
安堵の気持ちはいっぺんに消えました。

どうしよう、どうしようと、どぎまぎするばかり。
460円のバス代で一万円札を出すなんて非常識だし、
かといって周りに乗っている乗客の中で知り合いは誰もいないし、
次にいつ会うかもわからない人に
バス代を貸していただけますかとも言えないし・・・。

そうこうしているうちに降りる予定のバス停が近づいてきました。
停車ボタンを押して、料金箱までいき、
申し訳ない気持ちで正直に一万円札しか持ち合わせがなく、
小銭がないことを運転手さんに伝えました。

運転手さんは「ちょっとお待ちください」と言って
両替用の小袋を開けて見てくれましたが、
あいにく釣り銭がなかったようでした。

文句を言われることを覚悟していましたが、その運転手さんは、
「お客さま、もうしわけございません。
あいにく釣り銭がご用意できません。
次にバスに乗車いただいたときに、
今日のバス代の分をお支払いください」
とさりげなく言って、そのままバスから私を降ろしてくださいました。

申し訳ないのは私の方で、何度もすみませんと謝り、
「必ずお支払いします」と約束してその場を後にしました。
何日かして、たまたまバスに乗る時がありました。

もちろん、あの時の運転手さんの温かな計らいを忘れることはなく、
バスを降りるときに、
「小銭がなくて、前回、バス代が払えませんでした。
その分を足してお支払いします」と言って料金箱に入れました。
その運転手さんは、ニコッとして、
「はい、分かりました。ありがとうございます。」
と言われました。
ずっと心につっかえていたものが取れた思いと同時に、
なんだか心がホカホカしたのを覚えています。

*   *   *   *

いかがでしたか。
「小銭を用意して乗るのが常識だろ」とか
「お釣りを充分に用意していなかったバスが悪い」など、
いろいろ、読み手によってご意見はおありかもしれませんが、
私はジーンときてしまいました。それは一点。

「信じる」ということです。運転手さんは、
「次にバスに乗車いただいたときに、今日のバス代の分をお支払いください」
と言い、お客様を信用した。

そして、荻さんも、運転手さんの「ご好意」をしっかりと心に刻み、
次に乗った時に、きちんと支払った。
当たり前のことなはずなのに、
そこに「信じる」ことの美しさ、気高さを感じたのです。
さらに、この世知辛い世の中で、ホッとする温かさを。

ところで、
「これはマニュアルの対応なのかな?」
と気になりました。
どこのバス会社かわからなったので、
大手旅客運送会社で役員をしている友人に訊いてみました。
すると・・・。
「運転手は、普段、1万円で支払われたお客様のためにお釣りを用意しています。
でも、たまたま、何人も1万円で支払われるお客様が続くことがあります。
それによって、釣り銭が切れてしまう。
実は当社では、そういうケースのマニュアルはありません。
運転手に任せてあります。
きっと、このケースも、運転手さんの機転なのでしょう。」
とのこと。

物事は、すべてがマニュアル通りにはいきません。
そんな時、それぞれの人の感性が発揮されることになります。