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第1455号 ちょっといい話『A子の修学旅行』志賀内泰弘

今日は、京都市立嘉楽中学校教諭・山岡弘樹さんからの報告を
紹介させていただきます。
 
   *   *   *   *
 
「A子の修学旅行」
 
A子は、とても優しい心の持ち主なのですが、
中学校1年の12月に父親を亡くしてしまいました。
それから、少しずつ生活のリズムが崩れて、学校を休むことが増えてきました。
さらに、中学2年生の夏休みには髪の毛を茶髪にしてしまいました。

 
夏休み以降、さらに欠席が増え、12月くらいから全く登校できなくなりました。
3年生になって、時々学校には顔を出すようになりました。
しかし、教室には全く入らず、担任など教員に顔を見せるだけでした。
2年の時から、修学旅行については、
A子に「修学旅行に行くんや!!」と言い続けていました。
 
家庭訪問などを連日くり返し、学校への登校および修学旅行への参加も促しました。
同時にクラスメートや友達からも、ひっきりなしに連絡があり、
「一緒に学校に行こう」「修学旅行に行こうよ」「なぜクラスに来ないの?」
などと訴えかけていました。
それでも、A子はなかなかいい返事はしませんでした。
 
実は、昼夜逆転をしていて、外で遊ぶことに興味をもっていたのです。
修学旅行は6月上旬に実施されるのですが、その2週間前くらいに、A子はようやく
「修学旅行に行ってみようかなぁ」といい始めたのです。
数日後、「やっぱり、黒染めしなければならないのなら、学校も、修学旅行も行きたくない」
と、前回言っていたことを翻しました。
 
そうこうしているうちに、修学旅行まで5日と迫ってきた日のことです。
放課後、A子の友人で本校の卒業生であるB夫が、A子を連れて学校へやって来ました。
その時、部活動を終えて帰ろうとしていたクラスメートのC子、D夫をはじめ、
数人がA子とすれ違いました。
その時、みんなそれぞれ、「学校来いよ」「修学旅行は来週やで」と必死に声をかけました。
A子は、少し笑みを浮かべ、はにかみながらも、なかなか「うん」とは言いません。
ただ、気持の大きな変化は感じ取れました。
 
さらにたたみかけるように、B夫は、
「俺も,中学時代はやんちゃしてたから、A子の気持はよく分かる。
 でも、声をかけて心配してくれている、この友達を大事にしないと後悔するぞ。
 そして、修学旅行に行かなかったら、自分自身が一生後悔するぞ!!」と、
まるで、自分の妹のようにしかりつけてくれました。
それを聞いて、A子はついに髪の毛をその場で元の色に直しました。
横で見ていた、教員達は、本当に感動しながら見守っていました。
 
翌日、学校へ登校したA子は、3年生になって初めて教室に入りました。
久しぶりに教室に入るA子は、緊張した様子で、ためらいがありました。
すると、教室にいたクラスメートが近寄ってきて、さりげなく教室に一緒に入りました。
時間が経過するとともに、A子も緊張が取れてきた様子です。
 
そうして、修学旅行で沖縄を訪問し、3日間民家のお宅へホームステイしました。
現地では、民家の方の愛情を十二分に受け、本当に素晴らしい3日間を過ごすことが出来ました。
この体験は、A子にとっても、クラスメートにとっても、
非常に大きな体験で、決して忘れることの出来ないものとなりました。
その後も、欠席はあるものの、登校を続けています。