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第1224号 ちょっといい話『12番目の切符』志賀内泰弘

きょうは、愛知県の山田貞二さんから届いた「いい話」を紹介いただきます。 これは、山田さんが一宮市立大和中学校で校長を務めていた時の出来事だそうです。

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『12番目の切符』

祝日の日、静岡県でバレー部の部員とともに練習試合に臨みました。 たくさんの学校と試合をし、多くの方に応援に来ていただき、感謝の一日でした。 また、感謝といえば、この日はもう一つ、とても心温まるできごとがありました。

練習試合が終わり、帰りの電車に乗ろうと、 顧問の先生も生徒も鷲津駅で切符を買おうとしていました。 自動券売機では販売していないほどの遠い距離であったため、 全員窓口で切符を購入しなければなりませんでした。

先生がまとめて立て替えて全員のチケットを購入するのが手間もはぶけて効率的です。 実際に、学級や学年単位など大勢の場合は、まとめて購入します

しかし、部活動の遠征などの際には、一人ひとりが自覚を持って行動し、 社会性やマナー等も身につけさせたいという考えから、 一人ひとりが切符を買うように指導しています。

ところが、窓口に並んだ列の2人前のお客さんが手続きに時間がかかっているうちに、 電車の到着時間がだんだんと迫ってきてしまいました。 ただでさえ、県を超えての遠征で、帰宅時刻のことを考えると 電車を1本遅らせるわけにはいきません。 内心、非常に焦りが募ってきました。

(やはり、まとめて購入すべきだったかなと)

その時です。すぐ前に並んでいた若い男性の方が、 「お急ぎですよね? 先に切符を買ってください」 と、順番を譲ってくださったのです。バレー部はその時全部で11人。 順番を譲るということは、その男性が切符を買えるのは 12番目になってしまうということです。

「いいんですか?」 と、顧問が尋ねると、 「困ったときはお互い様です。」 と言い、スッと後ろへ移動されました。 たぶん、生徒全員がおのおのに切符を購入するという意味合いも 理解してのことだと思われました。

その男性のおかげで、全員が無事切符を買いホームへ向かうことができました。 バレー部全員で、その男性に向かって、 「ありがとうございました!」 と、精一杯の感謝の気持ちを込めてお辞儀をし、あいさつをしました。 その男性は少し照れくさそうにはにかみながら、 ペコッと会釈を返してくださいました。

電車がそろそろ鷲津駅に到着する頃、後ろを見ると、 その男性も切符を買い終わり、ホームに向かう姿が見えました。

同じ電車に乗るということは、その男性は家路を急いでいたのかもしれません。 そんな中、もしかしたら、再び会うことはないかもしれない私たちに、

「困ったときはお互い様です」

と言って、順番を譲ってくださったその男性の温かさにとても心打たれました。 「人情」に触れることができた帰り道となりました。

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(編集長・志賀内)私が生徒たちの後ろに並んでいたら、 「誰か代表でまとめて買えよ!」とイライラしていたかもしれません。 急いでもいないのに、「少しでも早く」と思ってしまう自分に反省。 心にゆとりを持ちたいものです。