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第1711号 ちょっといい話『ジャリジャリーンと1円玉』志賀内泰弘

今日は、鹿児島県霧島市の【ペンネーム】とっちゃんボーイさんから投稿を紹介させていただきます。

*   *   *   *   *

木枯らし吹きすさぶ年の瀬のとある休日、買い物を終えて娘と繁華街のデパートの通りを歩いていた時のことです。

ジャリジャリーン!

と音がしました。「お父さん・・・」と、娘の指すほうを見ると、腰の曲がった小さなおばあちゃんが、「あらあら」と言いながら右往左往しています。歩道の上には、その手から零れた1円玉がいっぱい。あちこちに転がっていきました。

思わず駆け寄り、娘と二人で拾いました。
「すんませんなぁ」
おばあちゃんは、しわだらけの顔をくしゃくしゃにして何度も頭を下げます。ふと見ると、歩道の傍らに
「愛の1円塔」
なるものが設置されていました。それを診て私と娘は、その1円玉の「訳」が理解できました。おばあちゃんは、募金をするためにたくさんの1円玉を家から持って来たのです。かき集めた1円玉を、その募金口から流し込んであげました。小さな穴なので入れにくい。レジ袋から取り出すときに路上にこぼしたのですね・・・。

最後の1円玉を敷石の隙間から取り出しました。その1枚をおばあちゃんに渡してあげた。
「ありがとうなぁ」
くしゃくしゃの笑みで頭を下げられました。
「いいんですよ、穴が小さいから入れにくかったね、おばあちゃん」
・・・でも、こんなところにこんな募金塔があるなんて見過ごしていました。

想像するに、年金暮らしの1人住まいで決して余裕があるわけではないけれど、スーパーで買い物したつり銭を1年間コツコツと貯めて毎年この時期に募金されているんだろうなぁ。よく、有名人が何億円寄付したとか報道されるけど、このおばあちゃんのことは誰も知らない。なんの見返りがあるわけでもなし、誰かに感謝されることもない。そう、金額じゃないよね。自分のできる範囲で精一杯のことをする。

日本って、まだまだ、こんなふうに多くのささやかな無償の愛に支えられている一面もあるんだなぁ・・・腰の曲がったおばあちゃんの小さな後ろ姿を娘と見送りながら、ほんわか暖かい気持ちになりました。普段、タメ口の娘の横顔をふと見ると、ちょっと涙ぐんでいたのは、風がしみたからだったのだろうでしょうか・・・。