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月刊誌プチ紳士からの手紙






小冊子_表紙「ギブギブ」

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第1137号 ちょっといい話『熱血先生の泣ける本 その1…読者プレゼント』志賀内泰弘

月刊紙「プチ紳士からの手紙」に「学校のいい話」を連載していただいている 神奈川県の公立中学校の校長・中野敏治先生が、本を出版されました。

そのタイトルが、 「熱血先生が号泣した! 学校で生まれた“ココロの架け橋”」(ごま書房新社) です。

「熱血先生」とか「号泣」とありますが、けっして大袈裟ではありません。 24時間365日、生徒に何かあると飛んで行く、情熱あふれる先生なのです。 志賀内は、勝手に「リアル金八先生」と呼んでいます。

今日は、その本から、ドラマにもなりそうな、 いや、ドラマ以上のお話を紹介させていただきます。

    *    *    *    *

「元気になるために手術をしてくるからね」

ある日、一人の生徒が学校を休みだしました。 足に痛みがあるからと、町の病院に行ったのです。

そこで診察をしたところ、すぐに大きな病院を勧められました。 そして数日後、大きな病院で検査を受けました。 その間、彼はしばらく学校を休みました。

数日後に彼の父親が学校へ来ました。 その日は曇り空でしたが、父親はサングラスをかけていたのです。 応接室で父親と話をしました。

応接室でも父親はサングラスを外そうとはしませんでした。 父親の言葉に驚きました。 「息子の痛みの原因は、悪性の腫瘍でした」と言うのです。 その場の空気は一変し、時間が止まりました。 私は返す言葉がありませんでした。 父親は話を続けました。

「最初の病院で腫瘍の疑いがあると言われたとき、  この医者は何を言っているんだと思ったんです。  だって、小学校からずっとサッカーのレギュラーで、  試合にもずっと出てきた息子ですよ。  怪我はしても病気などしたことがない息子ですよ。  その息子の足の痛みの原因が腫瘍だと言うんです。  そんなこと、信じられますか」

少し、時間をおいて父親は話を続けました。

「大きな病院に紹介状を書いてもらって、  その病院でいろいろ検査をしたら、  やはり腫瘍があると言われたんです。  信じられない、そんなの信じられない。  そんなこと信じないですよ。  今まで元気だった息子ですよ。  信じろって言っても無理です」

なかなか外さないサングラスが気になって、 「そのサングラスは?」と父親に尋ねると、

「先生、恥ずかしいんですが、俺、息子の病名が信じられずに、  毎日涙が止まらず、目が腫れてしまい、  それでも涙が止まらないんです。  腫れた目を隠すためにサングラスをしているんです。  息子の方がもっと苦しいのに、情けないです。  息子、冷静に医者の話を聞いていたんですよ。  そして、サッカーはまたできるのですかと医者に聞いているんですよ。  生きてほしいんですよ、息子には」

と言いながら、父親はうつむき涙を流すのです。 彼は大きな病院でさらに詳しい検査をし、 手術のために専門の病院へ行くことになります。

「手術するよ。でもその前に、一回、学校へ行きたい」 と、彼は父親に頼みました。 そして、彼は手術の数日前に学校へ両親と一緒に登校しました。 彼は、自分の病気のことをみんなに伝えたかったのです。

体育館に彼と同じ学年の生徒が集まりました。 学年の生徒の前に立って、彼は自分の病気のことを話し始めたのです。 医者から聞いた自分の病気のことをすべて、みんなに話したのです。

そして、これから手術のために、また違う病院に入院することも。 しばらくはみんなと連絡もできないということも。 体育館はしーんとしました。そして、涙を流す生徒もいました。 そんなみんなに、彼はこう言いました。

「大丈夫だから。元気になるために手術をするんだから。みんな待っていて」

学年のみんなに自分の思いを伝えた後、彼は家に戻るため、 学校の玄関に両親と向かいました。 彼は学校の玄関を出るとき、立ち止まり、 そして振り向いて、見送りに来た先生方に言うのです。

「先生、行って来るね。また帰ってくるから」

泣いてはいけない、泣いてはいけないと思いながらも、 彼の言葉に両親も先生方も涙があふれてきました。 本当は、一番不安で辛いのは彼なのです。

でも、彼は自分以上にみんなに、 特に、サングラスをずっとかけっぱなしの父親を気づかったのです。 まだ中学生、でも彼は、こんなにも周りの大人に、周りの仲間に気を遣い、 勇気を与えているのです。

彼の後姿を見ながら、大丈夫、大丈夫と心の中で願いました。 一番、辛い時、 人はまわりに気を遣い勇気を振りまく。 大丈夫、勇気ある人なら困難を乗り越えてくれる。