第367号『あやちゃん(ちょっといい話)』志賀内泰弘
よく、良くない意味で、 「親の顔が見てみたい」と言いますね。
今日は、その反対。
良い意味での「親の顔が見てみたい」というお話です。 名古屋市東区の齋藤次郎さんからお寄せいただきました。
* * * *
あやちゃんは保育園の年長さんになる時、 家の事情で4年間通った保育園を転園しました。
新しい保育園では最初は親切にしてくれた同じクラスの子も、 しばらくすると遊んでくれなくなったそうです。
遊びのルールが地域によって微妙に違ったのです。
お父さんは事あるごとに、
「保育園には慣れたか? 友達はできた? 保育園は楽しいか?」
と聞いたそうですが、1度だけ、
「友達が遊んでくれない」
と言った時があったそうですが、あとは決まって、
「楽しいよ」
という返事だったそうです。
弱音を吐いた次の日も、元気に登園する姿を見て、 それほど心配しなかったそうです。
保育園では、こどもの日の会、七夕会などさまざまな行事があり、 妻が撮ってきたビデオを見て驚きました。
こどもの日の会では相撲大会がありました。 あやちゃんの出番がくると、園児達が、
「あやちゃん頑張れ! あやちゃん頑張れ!」
と大きな声援が手拍子とともに飛びます。
私が妻に聞くと、声援を送っていたのは年中の子と年少さん。 すごい人気との事。
残念ながらあやちゃんは 決勝戦で男の子に負けてしまいました。
また別の機会では、いす取りゲーム大会がありましたが、 その時も割れんばかりの声援でした。
私は単純に人気者なんだと思っていましたが、 卒園式での園長先生のあいさつを聞いて驚きました。
卒園式の前日、園児達と式の準備をしていると、 ちこちゃんという子が、
「あやちゃんは本当に明日でいなくなるの?」
と聞いたそうです。 園長先生が、
「そうだよ、4月からは小学校に行くんだよ」
と言うと、
「いやだ別れたくない、あやちゃんが小学校に行くなら私も行く」
と言って泣き出してしまいました。
あやちゃんが、
「たまには遊びに来るからね」
と慰めても泣き止まず、 最後はみんなで大泣きになってしまった。
こんな事は初めての出来事でとても感動しています。
あやちゃんはとても面倒見のいい子で、 年下の子からはすごく慕われていました。
また先生のお手伝いを進んでやってくれるしっかりした子です。
と紹介されていました。
親御さんに話をお聞きしたら、 前の保育園では同級の子か、年上の子に好かれて、 年下の子とはほとんど遊ばなかったそうで、 こちらでは年上はいないし、同級の子も遊んでくれないので、 先生のお手伝いや下の子の面倒を見ることで、 保育園に行く楽しみを見つけていたのだと思うと、 おっしゃっていました。
その後、あやちゃんとちこちゃんがどうなったか。 ちこちゃんは学区が違っていたので、 あやちゃんを追って、引越しまでして同じ小学校に入学しました。
ちこちゃんの思いを受け止めて、 引越しまで決意した親御さんはすばらしいですね。
そのあやちゃんは小学校に入ってからも、 転校していく子に必ず手紙を書いて渡しているそうで、 普段勉強している時よりも、 集中して丁寧に書いているそうです。









