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第1369号 ちょっといい話『一度死んだと思えば、何でもできる!』志賀内泰弘

株式会社山田硝子店という会社があります。 板ガラスや鏡を加工し、完成品にして卸販売や内外装の施工をしています。 あの「あべのハルカス」の内装工事をすべて引き受けたという 技術力にも定評のある会社です。 年商30億円。 スゴイのは、50年間も黒字経営を続けているということです。 さらに驚くべきことは、一度も社員のリストラをしたことがない。 並大抵のことではありません。 その上、利益の5%を社会的弱者に寄付をしています。実は、本当にすごいのは、ここからです。

現在相談役の山田晶一さんが、父親の急死で社長を引き継いだのは23歳。 この時、10億円の借金を背負い、いきなり崖っぷちに追い込まれます。 マチキンからも借り入れがあり、強面の人たちの取り立てに凍りつきました。 山田さんは、死のうと思い、瓶いっぱいの睡眠薬を飲んで、 桜の木に紐をかけて首を吊ります。 しかし、気が付くと、病院のベッドでした。 ここから、山田さんは時間と共に心の平安を取り戻します。 その時、心の支えになったのが、トルストイの「人生論」岩波文庫でした。 「いったん捨てた命。  これからは自分を、  自己愛を、  エゴを捨てて、  他人への愛に生きよう」 どん底から這いあがり、会社を立て直し、 優良企業にまで育て上げた日々を描いた話が 「一度死んだと思えば、何でもできる!」PHP研究所という一冊の本になりました。 「自己愛を、エゴを捨てて、他人への愛に生きよう」 などと嘘のような話です。 だって、人間だもの。 そんなことが、会社経営に繋がるのだろうか。 おそらく、多くの人が疑問に思えることでしょう。 でも、私には、「やっぱり」と大いに共感できるものがありました。 拙著「『いいこと』を引き寄せるギブ&ギブの法則」PHP研究所で
説いていることと同じだからです。 今回は、株式会社山田硝子店・相談役の山田晶一さんの著書 「一度死んだと思えば、何でもできる!」PHP研究所 を、著者のサイン入りで10名の皆さんにプレゼントさせていただきます。 サインだけでなく、山田晶一さんの「ひと言」も添えていただきました。 今、辛いことに出逢っている人に、 ぜひ、読んでいただきたい1冊だと思い、 志賀内がお小遣いから10冊求めました。
出版社さんから、「PRになるから献本するよ」 と言われましたが、お断りしました。 無料でもらった本を 「これいいよ」とプレゼントするのは、
「ギブアンドギブ」の精神に反するだけでなく、 この本に限っては不謹慎な気がしたからです。 でも、 当メルマガの読者の皆さんは、気軽にどんどん申し込んでくださいね。 遠慮は不要です。住所、氏名、電話番号のほか、ぜひとも、
山田さんへのメッセージを添えていただけたら幸いです。

どれくらい、山田晶一さんの信念がすごいのか。 一つ、エピソードを本編からまるまる抜粋して、 紹介させていただきます。
* * * *
「盗んだ男を信じて許す」 「許す」ということについて、こんな事件がありました。 私がまだ30代後半だった頃のことです。開発されたばかりの計算機が市場に出回り始めました。
とはいってもまだ技術が進んでおらず、今のデスクトップパソコンほどの大きさで、
しかも大変高価なものでした。
それまではそろばんを使っていたのですが、その頃には扱う金額も取引先も増え、
事務作業が大変でした。そこで、会社もそれほど余裕はありませんでしたが、
思い切って計算機を購入することにしたのです。
スウェーデン製で、当時の値段で40万円弱だったと記憶しています。
大きな買い物でした。
その計算機を社長室の机に置いていたわけですが、
ある日、網入りガラスの窓を破って泥棒が入り盗られてしまいました。
丈夫な網入りガラスを入れていたのに、破られてしまったのです。
当然、警察へ被害届を出しました。
数日後、「犯人が捕まったので来てください」と連絡があったので、
「いったいどんなヤツなんだ」と出かけてみると……うちの社員だったのです。
比較的有能な営業マンでした。
30歳を過ぎたばかりの私と同じ年齢ぐらいの男だったと思います。
ガラス屋の営業マンですから、ガラスを破るなんてお手のものですよね。
盗んだ計算機はすぐ質屋に入れたそうです。そこから足がついて御用となりました。
刑事さんが面白い人で、
「社長さん、この人をどないします?
もう2、3日留置場に入れとけと言うなら入れときますし、
社長さんが身元保証人になってあげるんやったら出してやってもええし」
と聞いてきました。 「刑事さんはどう思います?」 「こういう人はもう2、3日入れといたほうがええ薬になるんやけど」 そこで私が本人に「もうちょっと入っとくか?」と聞くと、
ぽろぽろ涙を流すのです。腹が立つよりもかわいそうになってしまいました。
彼は地方出身でしたので、実家には連絡がいっていませんでした。
そこで私はこう言ったのです。 「刑事さん、もうよろしいわ。私が身元保証人になります。
質屋の件も片付けて、それは本人の給料から毎月分割で引きますわ」 びっくりしたのは刑事さんです。 「あれ、社長さん、まだこの男を使う気ですか?」
と目を丸くしています。 「刑事さんと私とこの男の3人しか知らん話ですやん。
世間に知れ渡ってるわけじゃなし、本人もよっぽどの事情があったんでしょう。
もう十分苦しんで、懲りてるはずやから、もういっぺんやり直してもらいます。
会社のみんなには、とんでもない泥棒が盗りよったけど取り返したわと話します」 刑事さんは「こんな変わった社長は生まれて初めて見たわ」と半ば呆れながら、
「ええ会社やなあ。ええ社長のところで勤めていながらこんなことして、
バチが当たるで」と私の代わりにさんざん説教をしてくれました。
警察からの帰り道、喫茶店で話をしました。計算機を盗んだ理由を聞くと、
「友だちがサラ金からお金を借りて、どうにもならんようになって泣きついてきた。
自分にもどうにもならない大金だからほっといてもよかったけど、
何十年来の友だちやから」と説明するのです。
「それにしても会社の窓ガラスまで割って入って、
盗んだものを質に入れた金で友だちを助けるってどういう理屈や」と言うと、
「どうせ信用してもらえないと思いますけど、本当なんです」と。 もしかしたら噓かもしれません。しかし私は、
「世間では100人おったら100人ともこんな話、信用せえへんと思うけど、
100分の1の確率で一人だけ信用してあげる。その一人が私やで」と言いました。
「その代わり、もう二度と裏切るようなことはしないと約束してや」 彼はずっと泣いていました。
喫茶店の女性店員さんが妙な顔をしながら様子をうかがうので、
居心地が悪かったのをよく覚えています。 この事件の後、何度か、免許証の更新とか防犯の用事などのために警察署を訪れた際に、
その刑事さんとバッタリ会うことがありました。
「お、山田さん、あの男はどうしてる?」と聞かれるので、
「真面目に働いていますよ」と答えると「ほんまかいな」
と笑いながら奥へ入っていかれました。
彼はその後、10年近くわが社で働きました。
給料から差し引くなどの手続きをする総務部長には話しましたが、固く口止めしました。
彼は約束通り、真面目に、噓もつかずによく働いてくれました。
でも、どことなく淋しそうで時々放心したようにぼやっと空を見つめているのです。

結局、最後は私に「あのときの恩は一生忘れません」との下手なメモを残して、
会社から姿を消してしまいました。
「今頃彼はどこで、どんな生活をしているのだろうか……」と今度は、
私のほうが沈んでしまいました。 私は、どうも「なあなあ」でいつのまにか事を済ませてしまう、
経営者としては最もしてはいけない悪い「クセ」を持った人間だと、
いつも反省はしているのですが。

* * * *