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月刊誌プチ紳士からの手紙






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第1148号 ちょっといい話『「ありがとう」の思いを伝えたい(その2)』志賀内泰弘

京都に柿本商事株式会社という会社があります。紙専門の商社です。 寺町通りで「紙司柿本」という小売店も経営しています。 偶然ですが、この店の大ファンで「かばんが重いよ~」と後悔するほど、 ハガキや便箋を買い込んだことがあります。

さて、柿本商事さんではCSRの一環として、 「言の葉大賞」というコンテストを開催しておられます。 「心温まる言葉、心にぐっと響く言葉、そのような伝えたい思いを、 紙にしたためご応募ください」と全国に呼び掛けられました。

「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動事務局が主催している 「たった一言で」コンテストと、大いに趣旨が重なります。 そこで、第四回の入選作品から(第四回までは、恋文大賞という名前)、 二つ紹介させていただきます。

《入選作品》   *   *   *   *

「ありがとう」 新潟県長岡市 長岡市立宮内中学校3年 坂牧力

昨年、父が病気になり、入院した。 手術のため、母が付き添い、一晩だけ家にいなかった。 だから、その夜は両親に代わって父の友人が僕のために家に泊まってくれた。

初めて両親ともいない夜だった。 普段、当然のように両親がいて、朝起きればご飯ができており、 それを食べるだけ。何の心配もいらなかった。 しかしその日の朝食は菓子パンだった。 たまにはいいなと思ったが、これが毎日だと栄養もかたよりそうだと思った。

そして、その日学校から帰ると母がいた。 内心ホッとした。 それからしばらくは、母と二人の生活が続いた。

たった一人いないだけなのに、とても静かな日々だった。 それからしばらくして、父は無事退院し、いつもの生活に戻ることができた。 朝起きてご飯を食べ、学校へ行く。 帰って来ると、「お帰り」と母が言う。

そして、しばらくすると、父が仕事から帰ってきて、三人で夕食を食べながら、会話する。 こんな平凡な一日を送ることが、当たり前となっている今、つい忘れがちである。 たった一晩だけだったけど、僕だけが家にいて、不安な思い。 ただこれからは、両親にあまえるだけでなく、もっと協力して、 せめて自分のことは自分でできる人になりたい。

そして、こんな僕を育ててくれた両親に、 ありがとうと言いたい。

《入選作品》   *   *   *   *

「親友の君」 群馬県安中市 安中市立松井田南中学校3年 山田聖義

中学3年生になる前に君は亡くなったね。君が癌になって半年後のことだったね。 僕は長い闘病生活を送っていた君に一回しか会いに行かなかったことを覚えているかい。

「食いしん坊で、少しお腹も出てて、笑顔が素敵な君」 というイメージが崩壊するのが怖くて逃げていたんだよ。 でも、親友の僕が会いに行かないのは失礼だと思ったんだ。 だから僕は勇気を出して君に会いに行ったんだ。

病室では肩が腫れて大変そうな君がベットに座っていたよね。 痛くて大変そうなのにそれでも君は素敵な笑顔を見せてくれたんだ。 だから君のイメージは少しも壊れなかったよ。

一時間くらい君の家族と僕の家族も君のベットを囲んで話をしていたけど、 君と二人だけの時間をつくってもらって話をたくさんしたね。

そして帰る時に「また来るね」と言ったのに君に会いに行けなくなってしまった。 そして君は一ヶ月後に亡くなってしまったね。ゴメンね。約束守れなくて。 そして僕はある日考えたんだ。なんで君が亡くなって僕が生きているのかって。 そう何度も何度も考えてふと思ったんだ。

「死んだのが君じゃなくて、僕だったら君はどうなっていただろう」って。

もし僕が亡くなっていたら、今の僕が感じている悲しみを君が背負うことになるだろう。 そうなっていたと考えてみた時、大切な君に今の悲しみを味わわせるんだったら、 僕が感じている方がいい。 そして君の分まで生きて行くんだと思えるようになったら、 気持ちが少し楽になったんだ。

僕は君の死から多くのことを学ぶことができたんだ。 その中の一つに「いつ死ぬのかは、若い人にもお年寄りも分からない」ってこと。 だから、今を精一杯生きる。そして僕は君の分まで生きていく。

こんなに大切な事を教えてくれた君に、心から感謝するよ。本当にありがとう。

   *   *   *   *

○入選作品集がお求めになれます 「「ありがとう」の思いを伝えたい。」 「恋文大賞」編集委員会【編】京都柿本書房

http://www.koibumi-kakimoto.jp/books/index02.html

○第五回「言の葉大賞」入選作の一部と第六回の応募要項はここからご覧になれます。 http://www.kotonoha-taisho.jp/