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第1746号 ほろほろ通信『一言お礼が言いたくて』志賀内泰弘

稲沢市の安井智恵子さん(65)は、昨年の7月7日、自転車に乗っていて名鉄国府宮駅付近の踏み切りで、ほかの自転車とぶつかり動けなくなった。その時、若い男女二人が救急車の手配をし、ずっとそばで介抱してくれた。骨折していたため治療が長引き、ようやく聞いていた電話番号にかけたが連絡が取れない。一言あの日のお礼が言いたいという。

次は18年前の話。豊田市の内山昌子さん(46)が二人のお子さんを連れて買い物に出掛けた時のこと。まだ帰りたくないとぐずる2歳の長男に手を引っ張られてバランスを崩し、背中の三カ月の次男が今にも落ちそうになった。そこへ見ず知らずの年配の女性が現れ「お兄ちゃん、言うこと聞かなきゃ」と言い、長男を抱きかかえてくれた。あっけにとられた長男は素直に車に乗った。折に触れ、その話を聞いて育った次男は、スーパーで小銭を落とした人がいるとサッと拾い、カートが放置されていると定位置に戻す青年に育ったという。

さらに42年前の出来事。新城市の松下美智子さんは臨月を迎えていた。バスの中で、しんどくなり床にしゃがみ込んでしまった。男子高校生がスッと立ち上がり「どうぞ掛けてください」と席を譲ってくれた。流産の怖れがある状態だったので神様か仏様に出会った気持ちがした。その時、おなかにいた娘さんも今では二児の母。たぶん還暦間近のはずの当時の高校生に、あらためてありがとうと言いたいと。

つらい時、苦しい時に人から受けた親切は、いつまでも心に残るものだ。

<中日新聞掲載2008年6月1日>