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第1724号 ほろほろ通信『両親になり代わって』志賀内泰弘

南市の鷺武子さん(67)には、中学校時代に何をするにも一緒の友人がいた。仲良し3人組だったが、このところ年賀状だけの付き合いになっていた。
昨年5月のこと、そのうちの一人の友人の娘さんから「母が会いたいので呼んでほしいと言っている」と電話があった。病院へ駆けつけ、10年ぶりに3人そろって再会した。余命三カ月とのことだった。3月にはご主人を亡くされたばかりであることも知り胸が痛んだ。

それから一カ月後、訃報が届いた。通夜の席では、息子さんが涙を流しながらも立派な挨拶をされた。聞けば、葬儀の段取りや後々のことなど、すべてお子さんたちに指示してから亡くなったという。昔から何事にもきちんとしていたので、彼女らしいと感心した。

そして今年の夏、亡くなった友人の息子さんから暑中見舞いのはがきが届いた。「今後ともご指導ご鞭撻くださいますようお願いいたします」という挨拶文に続き、こんな言葉が添えられていた。「他界した両親になり代わりまして、皆様のご健勝をお祈りしております」

葬儀から1年以上もたち、お子さんからこのような便りをもらったことは初めてだった。これも彼女が指示したことだろうか。よく教育されたことだなあとあらためて感心した。お盆には建てられたばかりの墓にお参りしてきたという。

<中日新聞掲載2008年11月23日>