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第1716号 ほろほろ通信『ギャングとライダー』志賀内泰弘

岡崎市の井土康歌さん(51)からの便り。十五年ほど前、息子さんと、仲良しの友だちを、保育園まで車で迎えに行った帰り道での出来事だそうだ。二人はわんぱく盛り。その日も、車の後部座席で大騒ぎをしていた。

途中、渋滞に巻き込まれ車が動かなくなってしまった。気付くと、子どもたちの「バキューン、バキューン」と言う声が聞こえた。「何をしているのだろう」と振り返ると、小さな手を拳銃の形にして、撃つまねをしていた。その銃口の先は、車の後ろに向けられていた。バックミラーには、バイクに乗った二十歳くらいの青年が見えた。

「迷惑だろうなぁ」と思っていると、その青年は無視するどころか、悪がきたちの相手をして、飛んで来た?弾を身をかわしてよけるふりをしてくれたのだった。それを見た二人は顔を見合わせて大喜び。さらに調子に乗って得意げに拳銃を撃ちまくった。それでも青年は飽きることなく右へ左へと弾をかわす。

やがて、渋滞が解消。青年は二人のギャングにバイバイと手を振り、井土さんの車を追い越して去って行った。「優しいお兄ちゃんだね」と言うとニコニコして「うん」と答え、思いっきり手を振って返した。その息子さんは今、東京の大学で体育の先生になるのを目指して勉強中だという。

<中日新聞掲載 2008年4月20日>