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第1708号 ほろほろ通信『パピーウォーカー知ってますか』志賀内泰弘

豊田市の野々山雅博さん(39)が高校三年生の時、一匹の犬が家にやって来た。ラブラドールレトリバーの赤ちゃんだ。名前はリック。パピーウォーカーとして育てることになった。
パピーウォーカーとは、生後間もない子犬を盲導犬として訓練に入るまでの約一年間、家庭で預かる仕組みのことだ。

子犬は人の優しさを知り、家庭内でのルールを学ぶ。散歩に出掛け、車の音や人込みに慣れることができる。いかに愛情を持って育てられるかによって、将来、盲導犬になれるかが左右される。犬が人間を信頼してくれることが必要だからだ。

ある日のこと。ちょっと目を離したすきにリックが道に飛び出した。そこへ車が。命に別状はなかったが、骨折してしまった。交通事故を経験した犬は車を怖がるため盲導犬になるのは難しいと言われている。それ以後は一層愛情を注ぎ、家族同様に育てた。

やがて盲導犬協会に引き渡す日が来た。飼い主のにおいや声は覚えているので、引退するまでは会えない決まりになっている。後ろ髪を引かれる思いだった。盲導犬になれる確率は十分の六。ましてや事故のこともある。家族からは「どうせ難しいなら、このまま飼い続けようか」という意見も。

しかし、リックは厳しい訓練を乗り越えて盲導犬になった。そして、七年間活躍の後、この世を去った。野々山さんは言う。「あきらめないという心を教えられました。リックありがとう」。盲導犬の数が不足しているという。パピーウォーカーについての照会は、中部盲導犬協会=電052(661)3111=へ。

<中日新聞掲載2008年9月14日>