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第1698号 ほろほろ通信『70歳の誕生日』志賀内泰弘

名古屋市中川区にお住まいの伊藤史子さんは、昨年の12月4日で70歳になった。その誕生日を迎えるまでに、二つのことをかなえたいと思っていた。
一つは献血。若いころから何度も献血をしていた。今までに血液型のペンダントや感謝状、盾をもらったこともある。でも、献血には69歳までという条件があると聞いていた。だから、どうしてもあと一回しておきたかった。おかげさまで自分自身も、そして家族も健康で暮らしてこられ、本当に幸せだという。名古屋市交通局の敬老パスも使わせてもらっている。だから、この感謝の気持ちを形に表したい。少しでも困っている人たちのために、何かできないかと考えていた。誕生日の前日に献血会場を訪れると、スタッフの人が「最後の日に来てくださったのですね」とねぎらってくれた。

さてもう一つ。それは、どこかに心ばかりの寄付をすること。それも、できるだけ身近な所へ。ある日のこと、たまたまテレビを見ていたら交通遺児の話を報道していた。「これだ」と思い、早速連絡。中区金山にある「財団法人東海交通遺児を励ます会」の事務所に出掛けた。
「お若いですね。振込みもできますのに、今日はわざわざおこしいただき、ありがとうございます」と言われてうれしくなった。誕生日というと、ついつい人から祝ってもらうことばかり考えてしまう。それだけに頭が下がる話だ。「記念日にボランティアを」という考えが広まるといいなぁ、と思った。

<中日新聞掲載 2008年3月23日>