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第1690号 ほろほろ通信『僕たちにもできるんだ』志賀内泰弘

名古屋市北区の河合健太郎さん(37)は、県立養護学校の教諭をしている。正直のところ、最初は障害のある子どもたちとの出会いに戸惑いや不安もあった。しかし、子どもたちの純粋さにひかれ、徐々に誇りと生きがいを感じるようになったという。

クラブ活動としてフライングディスク競技の指導をしてきた。これは一般にはフリスビーという名前で呼ばれている。ディスクを十投して幾つ的に入るかというアキュラシー、どれだけ遠くに投げられるかというディスタンスの二種の競技は、障害者も参加しやすく競技者も増えている。

もう10年も前、この部活動の指導をしていたときの話だそうだ。養護学校では、中学校の時にいじめに遭ったり、挫折を経験したりして心に傷を持つ子どもが多かった。フライングディスクを始める時にも「どうせ僕たちは…」という雰囲気になっていた。それでも根気よく練習を積み重ねて知的障害養護学校の県の球技大会に出場し、なんと優勝してしまった。それは何よりも彼らの自信になった。

その部員の中に、比較的軽度の知的障害者が学ぶ高等養護学校の受験に失敗して落胆していた男の子がいた。普段おとなしくて消極的だった彼が、こんな言葉を口にした。

「僕たちにもできるんだ」

河合さんはこの一言に力を得て、生涯を障害者のために生きようと思うようになった。さらに学校の中だけでなく障害者全体のために、仲間たちとフライングディスク競技の普及に努めている。河合さんに自信を持たせてくれたその生徒は、今では一般企業で健常者とともに立派に働いているそうだ。

<中日新聞掲載2008年3月2日>