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第1671号 ほろほろ通信『その先にゴールがある』志賀内泰弘

八年前のこと。名古屋市緑区の加藤那津さん(39)は乳がんと診断された。幸い早期で発見できたため、手術し、経過を見ることになった。
ところが、四年後に再発。二度目の手術をした。その二年後、今度は肝臓に転移していることが分かる。ショックではあるが、今も治療に前向きに取り組んでいる。その力の源となるのが、マラソンだった。

加藤さんは元々、長距離を走るのは苦手だったが、友人に勧められマラソンを始めた。がんの治療を始めた後のことだった。走るのは苦しい。

でも、頑張ればその先に必ずゴールがある。つらい治療と重ね合わせ、病気の克服へと向き合う手助けになると信じて。そのかいあり、昨年三月、名古屋ウィメンズマラソンに参加した。スタート時点から感じていた股関節の痛みは、走るにつれ増していく。
二十キロ地点で走れなくなり、足を引きずって歩くようになった。そんな中、支えてくれたのは応援者だった。両親、職場の仲間、高校の恩師、同じ病気の友達が沿道から声援を送ってくれた。
そしてゴール!
制限時間のわずか五分前だったという。

そのゴールで待ち受けていてくれたのが、主治医の先生だった。完走賞としてもらえるティファニーのペンダントを受け取ると、その場で先生にプレゼントした。
「それが目標でチャレンジできたので、惜しいと思うより本当に感謝の気持ちを込めて渡した」という。

ところが数カ月後、予期せぬことが…。事情をすべて知っている勤務先の上司が、米国ニューヨークに出張した際、ティファニーのペンダントを買って来てプレゼントしてくれたのだ。
「治療をしながら働く環境を常に配慮してくれた方です」。それだけに感激ひとしおだった。

<中日新聞掲載 2018年4月29日>