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第1645号 ほろほろ通信『新幹線で出会った女の子』志賀内泰弘

一年ほど前の夕方6時ごろ、名古屋市緑区の西尾明さん(38)が
出張の帰りに静岡駅から新幹線に乗った時の話。

三人掛けの窓側に空席を見つけて座ったのだが、
同席の乗客が気になった。
平日のこんな時間に父親と小学二年生くらいの女の子が、
なぜ新幹線に乗っているのだろうと。
それにしても、二人はなんとも仲が良さそうに見えた。

しばらくして、女の子が西尾さんの膝をつついてきた。
父親が「だめだよ」と制止した。
今度は女の子が鉛筆と紙を差し出してきた。
手ぶりで「何か書いて」と言っている様子。
西尾さんはそれに応えて筆談でやりとりした。
申し訳なさそうに見ている父親に
「どこまで行かれるのですか」と尋ねた。
すると「私、父親じゃないんです」と言われ、あぜんとした。

その男性が新横浜駅から新幹線に乗ると、
たまたま隣に女の子が座っていたのだという。
耳が不自由な様子で、筆談で尋ねた。
すると、浜松駅まで親が迎えに来ているとのこと。
幼い子の一人旅が心配になり、掛川駅で降りるのを変更し、
付き合うことにした。筆談は単なる遊びではなかったのだ。
これもご縁。西尾さんも途中下車して同行することにし、
車中三人で楽しく遊んだ。

「浜松駅で確認し直すと、父親が待つのは
浜松からさらに私鉄に乗り換えていくつ目かの駅でした」
と西尾さん。最後まで同行し、本当の父親ともお目にかかった。
そこで聞いてびっくり!

「女の子は、毎日東京の特別支援学校まで通っているというのです。
駅のあちこちですれ違う人たちと笑顔で手を振って
あいさつしていたので妙だなと思っていましたが…どうりで。
付き添ったつもりが、反対に愛嬌(あいきょう)のある笑顔に
元気をもらいました」

<中日新聞掲載 2018年3月4日>