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第1625号 ほろほろ通信『3年前のお礼を言いたくて』志賀内泰弘

「ほろほろ通信」宛てに人捜しの依頼の便りが届いた。
今から、三年前の話。名古屋市南区の森瀬隆徳さん(60)の娘さんは、
高校の入学試験に向かうバスに乗り間違えてしまった。
だが、運転手さんが乗り換えの方法を教えてくれ、試験開始に間に合った。
帰宅するなり、その話を聞き「良かったね」と家族で言い合った。
そして無事合格。

ところが、昨年の暮れも差し迫る中、
娘さんが「実はあの時…」と告白めいたことを話し始め、驚いた。
あの日、乗り換えのバス停で待っていると、
老夫婦から「受験?」と声を掛けられた。

「はい、M高校へ」と答えると、
そばにいた女性が「今からじゃ間に合わない」と言い、
試験会場までタクシーで送り、代金まで支払ってくれたというのだ。

森瀬さんは「なぜそんな大切なこと黙っていたんだ」と娘さんをしかった。
だが、思い当たることがあった。
「当時、妻が病気で入院中でした。
子どもながら、よけいな心配をかけまいとして黙っていたようです。
今からでもお礼を申し上げたくて投稿しました」
とのこと。森瀬さんに電話をして、
「さすがにそれだけでは…。何か手がかりはありませんか?」
と尋ねた。
娘さんにさらに問いただすと、
その女性は鳴海中学の先生だと言っていた気がするという。

森瀬さんは、正月明け早々に鳴海中学を訪問。
先生方があちこちと聞き込みをしてくださり、
「覚えています」という方を突き止めることができた。
その足で転任先の中学へ飛んで行き、お礼をしたという。

「娘は大学受験の真っ最中です。
もしあの時、試験に遅刻していたら
人生が変わっていたかもしれません。
ただただ感謝です」
と森瀬さんは話す。

<中日新聞掲載 2018年1月21日>