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第1598号 ほろほろ通信『方向音痴だからこそ』志賀内泰弘

名古屋市西区の飯田紀代美さん(56)が、
アルバイトの面接試験に出掛けた時の話。
地図を手に地下鉄西高蔵駅を出て目的の会社へ向かって歩き始めたが、
道に迷ってしまい引き返した。

ところが、元の駅さえも分からなくなり、立ち尽くした。
そこは中学校の校門の前。下校のため出て来た二人の女子生徒に
「イオンモール熱田はどこですか?」と尋ねると、
「真っすぐ行って左へ曲がってください」と教えてくれた。
その様子を見ていた五人の男子生徒の一人が近づいて来て
「僕らも帰り道が同じだから、途中まで一緒に行きます」と申し出てくれた。

実は、飯田さんはかなりの方向音痴。
幼い頃は、すぐ隣の町内へ行くだけで迷子になってしまった。
大人になっても治らず、迷ったあげく途中でタクシーに乗ることもあるという。
テレビの情報番組で特集していた方向音痴の治し方を試してみたが、
あまり効果はなかった。

この日は、指定の時間よりも三十分早く家を出たにもかかわらず、
やはり道に迷ってしまい困り果てた直後のことだった。
二人の生徒に最後まで送ってもらい無事目的地に着くことができた。
だが…。

「せっかく、何人もの生徒さんにお世話になったのですが、
結局遅刻してしまい、試験は不合格でした。
でも、手を差し伸べてくださったことがうれしくてたまらないのです。
人に方向音痴の話をしても、なかなか理解してもらえず
本当に悩んで生きてきたからこそ、人の優しさが理解できます。
沢上中学校のみなさん、本当にありがとうございました」
と飯田さん。今年の九月五日午後一時半頃の出来事。

<中日新聞掲載 2017.12.10>