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第1588号 ほろほろ通信『手作りの金メダル』志賀内泰弘

建設会社に勤める名古屋市西区の吉田浩之さん(35)は
入社三年目の時、現場監督として幼稚園の電気・空調整備を
手掛けることになった。

園児がいる昼間の時間帯も工事しなければならず、
工区を分けるなど園児に危険が及ばないようにと最善の配慮をした。

それでも、腰にペンチやスパナなどの工具を巻き付け、
一見、怖そうに見える職人が常時園内に出入りする。
保護者から「すれ違いざまに子どもの顔に工具が当たらないか」など
という心配の声が相次いだ。

工事の円滑化のため、吉田さんらは園児たちに
「おはよう!」「バイバーイ!」と声掛けするよう努めた。
だが、誰一人返事をしてくれない。

たまたま吉田さんは他の現場と掛け持ちしており、心身ともに限界にあった。
「つらいだけでこの仕事に何の意味があるのだろう」と思いつめ、
会社を辞めることまで考えたという。
それでもあいさつを続けていたら、
一人二人と「おはよう」と返事をしてくれるようになった。
さらに、一人の園児が「これ直してくれる?」と、
壊れたぬいぐるみを持って来た。うれしくて早速直してあげた。

工事が終了間近になったある日のこと。
園長先生から携帯電話に連絡が入った。
「大事な話があるので、全員ですぐに来てほしい」と。
また苦情かと思い駆け付け、遊戯室に入ると…。

「二十人ほどの園児が声をそろえて
『おへやをすずしくしてくれてありがとう!』と言い、
手作りの金メダルを首に掛けてくれたのです。
ああ、自分の仕事は人の役に立ってるんだ、
とうれしくなりました。
今もこの仕事に就けて幸せだと思っています」
と吉田さんは話す。

<中日新聞掲載 2017年11月26日>