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第1581号 ほろほろ通信『使い古しのタオルを切って』志賀内泰弘

二年前のこと。名古屋市南区の岡田政広さん(55)のところに、
亡くなった奥さんの母親から電話がかかってきた。義父が入院したという。
それまで健康で病気とは無縁の人だったので心配して駆け付けた。

既に肺の病気が進行しており、かなり重篤。
義母は高齢で動けないので、岡田さんが世話をすることにした。
いかにも呼吸が苦しそうだった。

「今日か明日か」という状態の中、病院の先生や看護師さんの
献身的な治療や看護のおかげで、義父も頑張ることができた。
そばで見ていて「苦しみを和らげてあげよう」という
温かな気持ちが伝わってきて、頭の下がる思いがした。

そして、一週間後、息を引き取った。
霊安室から病室へ荷物を片付けに戻ると、ベッドの上に一枚の紙が置いてあり、
「ご協力をお願いします」というタイトルが目に留まった。

そこには「病棟では、オムツを使用している方の排せつ後の
床ずれ防止や清潔を保つ援助ケアとして、温めた布を使用しています。
ご家庭で再利用できる布がありましたら、提供をお願いできないでしょうか。
綿やタオル地だと効果的です…」と書かれてあった。

岡田さんは早速、使い古しのタオルやシーツを集めて選択し、
指定の十五センチ角に切って病院へ持ち込んだ。
微力だが、義父の供養と病院へのお礼の気持ちを込め何度も。

「同じ思いの患者さん家族が大勢いらっしゃるのでしょう。
つい最近、病院から『布は十分に集まった』と聞き、ほっとしました。
妻が亡くなった後も、私のことを常に気遣ってくれた義父です。
きっと天国で喜んでいてくれると思います」
と岡田さんは話す。

<中日新聞掲載 2017年11月19日>