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第1570号 ほろほろ通信『高校の後輩を誇りに思う』志賀内泰弘

今年の四月初め、江南市の大野暢史(まさし)さん(38)がバスに乗っていた時の話。
バス停で降りようとした中学一年生くらいの二人の男の子と、
運転手さんが何やら話をしていてなかなか出発しない。
どうやら、ICカードで料金を支払おうとしたのだが、残金不足だった様子。
だが、現金の持ち合わせもなく、二人は立ち尽くしていた。

降車を待つ人たちがいら立ち始めたその時だった。
すぐ後ろの男子高校生が「僕が代わりに払います」と言い、
二人分の料金を支払った。大野さんはハッとした。
その高校生の制服が、大野さんの出身高校のものだったからだ。
何だかうれしくなった。

気持ちを心の中だけにしまっておけず、
母校の校長先生宛てに手紙を書いた。
事の次第を報告し「後輩を誇りに思います」と。
ただ一つ、もやもやしたことが…。
中学生二人が、ただお礼を言うだけで立ち去ったようだったからだ。
「お名前とご住所を教えてください」と尋ねるべきではなかったか。

さて、数日後。校長先生から大野さんに電話がかかってきた。
料金を支払った生徒が誰か、校内で調べたところ判明したとのこと。
さらに、予想外のことがあった。
中学生の保護者が、不足分の料金を支払うため、
わざわざ高校へ訪ねて来られたという。

「きっと、二人の中学生は、あたふたして心に余裕がなかっただけなのでしょう。
でも、どこの高校かを覚えていて、家に帰って報告したのですね。
校長先生は、その男子生徒を褒めてくださったとのこと。
私もこんな場面で、サッと立て替えてあげられる行動力を身に付けたいと思います」
と、大野さんは話す。

<中日新聞掲載 2017年10月15日>