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第1559号 ほろほろ通信『かわいいお客さん』志賀内泰弘

愛西市の横井尊子(たかこ)さん(75)は毎朝、散歩をしている。
それを見た、老人会の会長さんに勧められた。
「同じ歩くのなら、通学団の見守り隊に参加してもらえませんか」と。

尊子さんのお孫さんも小学五年生だったので
「孫のためにもなる」と思い引き受けた。
そのお孫さんも小学校を卒業したが、以後も続けて八年になる。

寒い日や体調が優れない日があり、
何度も「やめようか」と思った。
だが、見守り隊の最高齢は八十五歳。
その方は持病があるにもかかわらず続けておられる。
その姿を見るたび「私も頑張らなきゃ」と思う。
会長さんは、そんな尊子さんを見て
「無理せず休み休みでいいよ」と言ってくれるという。

ある日の事。尊子さんのご主人が
「玄関に、かわいいお客さんが来てるよ」と呼びに来た。
庭先から表に回ると、向かいに住む小学二年生の女の子が、
三歳になる妹の手を引いて立っている。
尊子さんの顔を見るなり「今日はありがとう」と言う。
キョトンとしていたら、しばらくして、
その子のお母さんがやって来た。
「今日は娘がお世話になりました。ダンプカーの…」
とまで聞き、思い出した。

その日の朝、尊子さんが持ち場の横断歩道に立っていたら、
通り掛かったその子が「トラックに水をはねられて靴下がぬれちゃった」と言う。
履き替えに戻ると遅刻してしまうので、尊子さんが自分の家まで走り、
タオルを取って来て拭いてあげたのだ。

「ただ、それだけのことでお礼を言いに来てくれたのです。
うれしくてうれしくて。これからも続けられる元気をもらいました」
と尊子さんは話す。

<中日新聞掲載 2017年10月01日>