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第1535号 ほろほろ通信『ここにありますよー』志賀内泰弘

今年の三月のこと。稲沢市の大坪好子さん(71)の娘さんが、
二人の孫を連れて遊びに来た。小学一年と一歳の共に男の子だ。
上の子は活発で、外で遊ぶのが大好き。

おばあちゃんに遊んでもらおうと、
こまやボールなどをたくさん持ってきた。
少し離れた場所にある公園に行き、みんなで縄跳びをした。

翌朝七時頃、娘さんから電話がかかってきた。
学校へ行こうと思ったら、昨日持っていった何本もの縄のうち、
一番のお気に入りの縄が無くなっているのに気付いたのだという。
学校の体育の授業でも使っているので、
お孫さんはとても落ち込んでいるらしい。

大坪さんは、もしや公園に忘れてきたのでは、
と思ったが、用事があってすぐに出掛けられない。
仕方なく、翌々日に捜しに出掛けた。
広い園内の心当たりをあちこちと回ったが、見つからなかった。

あきらめかけて、とぼとぼと休憩所にやってくると、
その柱に縄が結びつけてあるのが目に飛び込んできた。
持ち手の部分にきれいなラメが入っている。間違いなく孫のものだった。

ちょうど目の高さ。遠くからでも分かりやすく、
どこからでも見える位置に丁寧に結ばれていた。
それはまるで「ここにありますよー」と言っているかのように思えた。
拾ってくれた人の優しい人柄が伝わってくるかのようだった。

「使い捨ての時代です。縄跳びの縄くらいだと、
買い替えてやるのはたやすいです。
拾ってくれた人の親切心も含めて、
物の大切さを孫に教えたいと思いました。
どなたか存じませんが、ありがとうございました」
と大坪さんは話す。

<中日新聞 掲載2017年7月30日>