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第1522号 ほろほろ通信『動物好きのお医者さん』志賀内泰弘

名古屋市中川区の山口清子さん(84)は、
八年ほど前、首から上全体が激痛に襲われた。
頸椎に原因があることがわかり、
近くの病院で紹介状をもらい大学病院を訪ねた。

診察室に入ると、S先生に開口一番、
「遠いところ、僕を頼って来てくれてありがとう」
と言われ、物腰の柔らかさに驚いた。
検査後、丁寧に文字や図を描いて説明してくれ、

「現在は、この病気に効く薬はなく、
手術しか治す方法はありません。
でも、別に悪性ではないので心配しなくてもいいですよ」
と優しく言われた。
また
「この病気は歩けなくなってから来る人が多いのに、
自分の足で来られるなんて偉いよ。
あなたの症状は軽いほうだよ」とも。
手術に対する恐怖が、この一言で和らいだという。

入院中は、一日に二度も三度も回診に来てくれた。
その度に「手は動く?足はどう?」と尋ねられ動かしてみる。
「動くから大丈夫だよ」という言葉に、不安が吹き飛んだ。

退院後の診察時には、
「痛い痛いと言って屈んで歩くと、年寄りになってしまうよ」
と助言された。実際、年寄りなのにと思ったが、
背筋を伸ばして歩くように心掛けているという。

「今まで、そんな先生に出会ったことがありません。肩書は教授。
なのに腰が低いと院内では有名でした。
なぜ、こんなに優しいのだろうと不思議でした。
ある時、S先生が大の動物好きであることを耳にしました。
そして、なんと!昔は獣医だったというのです。
でも、人さまの役にも立ちたいと思い、医学部を受け直したとのこと。
動物が好きな人は心優しいと言いますよね。道理で…」
と山口さんは話す。

<中日新聞掲載 2017年7月2日>