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第1499号 ほろほろ通信『ジェントルマンではなかった!?』志賀内泰弘

4月23日付「ほろほろ通信」で、豊橋市の大羽尚子さんの投稿を紹介した。
大羽さんは膝が悪く、通院の往復をタクシーに頼っている。
その日も、診察が終わると病院へ迎えに来てもらった。
すると、いつもと違い運転手さんが駆け寄って来て、
手を取り後部座席までエスコートしてくれた。
よろけたが体を抱えてくれたため大事に至らずに済んだ。
他にも、あめ玉をくれるなど気配りの連続。

「まさしくジェントルマンです。心が温かくなりました。
東海交通の運転手さんですが、お名前を聞き忘れました。
ありがとうございました」と大羽さんが感激しているというお話。

「ほろほろ通信」に掲載後、この運転手さんが見つかった。
すると、びっくり。紳士ではなく淑女だったことが判明した。
お名前は相埜(あいの)陽子さん(64)。ご本人いわく、
声が低く制服が男女同じであることから、
よく男性と間違われるという。

さて、「なぜ、そんなに気配り上手なのですか」と尋ねたが、しばし沈黙。
「何か理由が?」と何度も尋ねると、その生い立ちを教えてくださった。

陽子さんの母親は、苦労人。
陽子さんの祖父がギャンブル好きで、長く極貧生活を送った。
借金取りから逃げるため、大阪から豊橋へ。
その後、紆余(うよ)曲折あり未婚のまま陽子さんを生んだ。
母親が小料理屋を営んでいたため、陽子さんは学校から帰宅しても一人ぼっち。
寂しくてたまらなかったという。

「逃げて来たので、頼れる親戚も知人もいません。
だから、人の縁を大切にし、人に優しくするよう心掛けるようになりました。
母親ともども、苦労が心の肥やしになったのだと思います。
それがお客様への気配りにつながったのかもしれません」
と相埜さんは話す。

<中日新聞掲載 2017年5月28日>