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第1496号 ほろほろ通信『あなたのようになってほしい』志賀内泰弘

昨年の五月の話。当時、妊娠七ヵ月だった一宮市の大矢智恵さん(34)は、
病院や仕事へ車での外出はするが、その他は、
ついつい家に引きこもりがちになっていた。
そこで気分転換のつもりで、三ヵ月ぶりに電車に乗って外出することにした。

名古屋駅に向かうため、JRの稲沢駅から乗り込んだ。
あいにく座席はすべて埋まっている。
体調も良く、短い時間なので立っていることにした。

すると、すぐ近くの一般席に座っていた二十代の女性に声を掛けられた。
「座ってください」と。
目立ち始めたおなかに気付いてくれたのだろう。
大矢さんは一瞬、戸惑ってしまった。
なぜなら、席を譲られたのは生まれて初めてだったからだ。
とっさに「今日は元気なので大丈夫です」と答えていた。

その女性は「でも、私が心配なので座ってください」とさらに勧めてくれた。
「私が心配なので」という、思いやりあふれる言葉にジーンときて、
涙が出そうになった。でも、気持ちをうまく受け止めることができず、

「今日は遊びに行くので本当にいいんです。
お気持ちだけでありがとうございます。
どうぞ座っていてください」
と返してしまった。すると笑顔で
「でも、えらくなったら言ってください。」と言われた。
大矢さんから、女性へのメッセージ。

「その後、無事女の子を出産し元気に育っています。
新米ママですが頑張っています。
あなたのようなやさしい人に育てたいと思います。
また、人から親切にされた時には、
少し甘えられるようにもなれたらと思います。
ありがとうございました」

<中日新聞掲載 2017年5月21日>