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第1456号 ほろほろ通信『工事現場を花で飾る』志賀内泰弘

名古屋市北区の佐々木巧さん(51)が、建設会社に入社当時の話。
配属先の現場に行くと、花が置かれてあった。
誰の指示でもないが、すすんで水やりをした。

毎日世話をしていると徐々に株が増え、
翌年も花を咲かせてくれた。
建設業はよく3K(きつい、汚い、危険)と呼ばれるが、
花のおかげで現場をきれいに保つことができることを知った。
実は、花には作業員の心を和ませ、事故防止の効果もある。
以来、佐々木さんは現場に花を飾るように努めてきた。

月日が流れ、東海環状自動車道の橋梁下部工事の現場へ所長として赴任した時のこと。
早速、現場近くの花屋さんでニチニチソウやベゴニアなどの
プランター五十鉢を買い求め、国道沿いの工事用道路の出入り口付近に並べた。
通行に不自由をおかけする地域の人たちへのおわび、
さらに通行車両の運転者がすがすがしい気持ちになってくれたらと言う思いを込めて。

だが、正直のところ「誰も気に留めてくれないのでは・・・」という不安もあったという。
一昨年の九月、工事が完了した。その時、プランターの花は満開になっていた。
このまま捨てるのは忍びない。どこかへ寄贈できないかと考えた。

花を買った花屋さんに相談すると、
すぐさま近隣三カ所の幼稚園の花壇に移植できることが決まった。

「園児や先生方と一緒に植え替えをしました。
 みなさんが『あっ!あそこの工事現場にあった花だったんだね』
 と言ってくれました。そう、見ていてくれたのです。
 さらに『大切に育てます!』とも。花を通して心がつながりうれしくなりました」
と佐々木さんは話す。

<中日新聞掲載 2017年2月26日>