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第1445号 ほろほろ通信『お父さんの子供でよかった』志賀内泰弘

土木建設会社に勤める岩倉市の佐々木兼一さん(46)が、
入社2年目に高速道路建設に携わった頃の話。

当時、佐々木さんには付き合っている女性がいた。
忙しくて、デートする際にも工事で汚れた作業着のまま、
現場から駆け付けていた。

世間では3K(きつい、汚い、危険)の業種と言われて久しい。
自分で望んで就職したにもかかわらず、建設の仕事にコンプレックスを抱いていた。
佐々木さんの両親だけでなく、彼女の両親からも「そろそろ結婚を」という
無言のプレッシャーがあったが、自分の仕事に自信が持てず一歩を踏み出せずにいた。
もっとも、彼女は何も気にしていない様子だったが…。

そんな時、作業員さんが小学生の息子を現場へ見学に連れて来た。
夏休みの自由研究の一環らしい。世話をすることになり付き添っていた佐々木さんは、
その男の子の発した言葉に衝撃を受けた。
父親が現場で働く姿を見て「かっこいい!」と言ったのだ。
それも澄んだまぶしい瞳で。
「なぜ、そう思うの?」と尋ねると、男の子は答えた。
「お父さんは、いつも服が汚れたままで帰ってくるけど、
仕事に対して誇りを持っているから尊敬できるんです」と。
佐々木さんは、自らを省みて恥ずかしくなった。
「さらに『お父さんの子供でよかった』と言うのです。
幼いのに立派だと思いました。
以来、私も建設の仕事を誇れるようになったのです。

実は、その時の彼女が今の妻です。
私にも息子がいて、小学3年の時
『お父さん、地図に残る仕事をしててすごいよね』
と言われたことがあります。

今ある自分は、あの時の男の子のおかげです」と佐々木さんは話す。

<中日新聞掲載 2017年2月12日>