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第1743号 たった一言でコンテスト受賞作品★こころぽかぽか賞★『良かったなあ、お前〜』

<氏名>岩渕さん
<性別>女性
<住所>岩手県

<心に響いた「たった一言」>
「良かったなあ、お前〜」

<「たった一言エピソード」>
定年まで10年を残して、中学教師を退職しました。うつ病でした。自分に自信をなくし、心のバランスを失った日々の中で時間だけが膨大にあり、そんな時、寂しさを癒やしてくれる大好きな犬と暮らしたいと思い始めました。

自宅から一時間半ほど離れた町の、個人のブリーダーさんのお宅で、生後2ヶ月の柴犬と出逢い、その場で連れ帰ることを決めました。50代前後のその男性ブリーダーさんは、当面の餌を分けてくれたり、「この子は、とても足が速いんですよ」と教えてくれたりし、本当に犬が好きなのだということが、一目でわかる方でした。

そうしていよいよ、私の車に乗せられようとしたその時、子犬の頭を撫でながらブリーダーさんがひと言、
「良かったなあ、お前〜」
と言ったのです。「幸せになるんだぞ」でもなければ「この子をよろしくお願いします」でもありません。「良かったなあ、お前〜。」というその言葉には、子犬の未来の幸せを確信している響きがありました。

こんなボロボロの私なのに、この犬を幸せにする人間だと信じてくださったのかと、胸がいっぱいになりました。そして、この子犬の幸せを、心から喜んでいらっしゃるのだとも思いました。その時私は思わず、その小さくてまあるいその子犬に向かって、これからずっと大切に育てるからね、私も頑張って病気を治すから、一緒に幸せになろうね、と心の中で語りかけ、とても温かい気持ちになりました。

あれから二年。あの犬はもはや子犬とは言えない、カステラ色の元気な柴犬に成長しました。そして私も、抗うつ剤を卒業することができました。
今でも私と夫は、散歩をするたび、ご飯をあげるたび、頭をなでるたび、その犬に向かって、「良かったなあ、お前〜」と、何度も何度も語りかけています。