たくさんのいい話をたくさんの人に読んでもらいたい・届けたい・広げたい【運営】プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動

無料メールマガジン
いい話を読む
いい話を投稿する
みなさんの感想
いい話グッズ購入

いい話を読む

第1443号 たった一言でコンテスト★こころぽかぽか賞★「あなたも挑戦したら」

<氏名>佐々木裕雄さん
<住所>神奈川県

<心に響いた「たった一言」>
「あなたも挑戦したら」

<「たった一言エピソード」>
妻はガンに罹り、五十四歳で亡くなった。
妻はガンと言われ、病気が将来を見通せない状況の中で、
「私は小説を書きます」とはっきりと言った。
小説は特殊な能力を要するものであって、大変な挑戦であると思っていた。

彼女は時折、友人たちが作家として活躍している様子を話していた。
学生時代からの自分の長年の夢であった小説の思いを、
今しかないと思う気持ちになったのだろうか。

カルチャーセンターの小説教室に通い、
講師からの原稿の添削に従ってと改稿を熱心にしていた。
願いである小説を完成するには体力的、精神的に辛かったが、
大切な時間と人生の最後の締めくくりを残そうと頑張っていた。

初版の短編連作小説「『夜にさすらう』を、
妻なりの人生の結晶を本として残し終えた。
小説を手にしたときの妻の最高の微笑みの顔が今も鮮明に残っている。

妻はがんになったとき、暗い気持ちのままでなく、
「あきらめとしょうがないからは何も希望は生まれてこないこと」
を私、子供、友人に示した。

妻にとって、小説は単なる作文でなく、
自分自身の最後の命を懸けた遺言であり、
自己実現の証しであったのだろう。

私は今も、もっと語りあうべきであったと悔んでいるが、
「あなたも挑戦したら」
と言った妻の一言を思い出し、
妻の残した小説を励みに自分もエッセイに挑戦している。

将来、天国で共に語り合う趣味が出来たことを嬉しく感謝している。
「私の人生、これでよかったわ」
と言える最期の彼女の思いの小説は家族の宝である。