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第1475号 ちょっといい話『第6回言の葉大賞入選作から・・・「言葉の力」を感じるとき2 (その1)』志賀内泰弘

京都に柿本商事株式会社という会社があります。紙専門の商社です。
寺町通りで「紙司柿本」という小売店も経営しています。
偶然ですが、この店の大ファンで「かばんが重いよ~」と後悔するほど、
ハガキや便箋を買い込んだことがあります。
 

さて、柿本商事さんではCSRの一環として、
言の葉大賞というコンテストを開催しておられます。
「心温まる言葉、心にぐっと響く言葉、そのような伝えたい思いを、
紙にしたためご応募ください」と全国に呼び掛けられました。
 
「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動事務局が主催している
「たった一言で」コンテストと、大いに趣旨が重なります。
そこで、第六回言の葉大賞の入選作品から、
特に心に響いた作品を紹介させていただきます。
 
    *    *    *    *
 
入選 文章(手紙・作文)部門
「八十点の仕事」
京都市西京区 秋 優馬
 
「社会人ていうのはな。百点満点の仕事をしたらあかんねん。
 そこが学生と違うとこや。百点とるような仕事をしたら、
 自分もしんどいし、仕事の相手も窮屈でたまらんようになる。
 というて、ええかげんなことしとったら誰からも信用されへん。
 八十点でええねん。八十点ぐらいがちょうどええねん」
 
もう三十年以上むかしのこと。新米教師だった私に、
先輩のO先生が教えてくれた仕事の極意だ。
私はこのO先生に、教師の仕事のいろはも、
この世界の世渡りの仕方も、子どもとのつきあい方も教わった。
一日の仕事が終わると、O先生と私は毎日のようにパチンコに出かけ、
毎日のように酒を飲み歩いた。夜遊びの仕方も私はO先生に教わったのだ。
 
「パチンコは教師の仕事そのものや。
 『パチンコの必勝法はねばりとがんばり』てアナウンスしよるやろ。
 まさに子育ての極意や」
 
「学校になくてはならない存在」と評されつつ、
O先生の遊び方は豪快だった。
給料の半分はギャンブルと酒につぎこんだ。
それでもO先生を咎める者はいない。
八十点の仕事ぶりが、まわりの者を笑顔に変えてしまうのだ。
 
「ええかげんな部分を二十点分残しておくんや。
 その二十点分を子どもが埋めてくれよる。それが子どもの成長いうもんや。
 それでも、うまいこといかん時は、保護者とか同僚がカバーしてくれる。
 これが信頼関係というもんや。一人で百点とってええ気になっとったらあかん。
 八十点の仕事をするんや」
 
あれから三十余年。百点の授業をしようと子どもを追いこんでは失敗を重ねた。
一人相撲の仕事をするたび仲間を失った。保護者の心をつかめず散々に叱られてきた。
そして、この年になってようやく、八十点の仕事が、
自分と相手とのちょうどよい距離感を作り出すのだと気がついた。
 
今、私も胸をはって、若い教師達に、この仕事の極意を語りかけている。
「八十点でええねん。ちょうどええねん」
 
    *    *    *    *
 
入選作品集がお求めになれます
「「言葉の力」を感じるとき」1・2
【編】一般社団法人 【発行】言の葉協会京都柿本書房
http://www.kotonoha.or.jp/pub/